ケルセチン配糖体というと、腹部の体脂肪を低減させる特定保健用食品としての緑茶飲料について前回紹介しましたが、ケルセチンには他にも作用があり、これが機能性表示食品にも使われています。ケルセチン配糖体が含まれた機能性表示食品の中には、「中高年が加齢に伴い低下しがちな積極的な気分、生き生きとした気分、やる気を維持する機能があることが報告されています」と表示された製品があります。
「〜報告されています」との表示は、その製品で試験したものではなくて、研究論文を活用したもので、その成分が、同じ量だけ使われると同じ効果があるという前提で設けられた制度です。
精神的な機能が期待されるわけですが、調査対象となっているのは疾病に罹患していない人です。機能性表示食品は病気の人のデータを使うことができないという条件があり、病気の改善効果はないことが前提となっています。
ケルセチンを用いた機能性表示食品の研究論文では、健常な中高年がケルセチンアグリコンとして1日当たり50mg以上を含む食品を摂取することで、CADi2の項目のうちSDS(うつ性自己評価尺度)、やる気スコアについて優位な改善が認められるとの結果が得られています。
CADi2はアプリケーションの名称で、タブレットを用いた認知症の早期発見のツールで、認知機能検査とCADi2で構成されています。CADi2はSDS、やる気スコアで構成されていて、日本うつ病学会のガイドラインにも掲載されている検査法です。
SDSは20問の質問に1〜4点、やる気スコアは14問の質問に0〜3点がつけられていて、意欲の状態が診断されるものです。引用した研究論文では、SDS、やる気スコアともに健常者の範囲にある中高年者を対象にした試験が実施されていて、有意に改善したとの報告があることから、これを科学的根拠しています。