ミネラルの亜鉛は、サプリメント成分としても人気があり、中には亜鉛がほとんどで、少しだけ他のミネラルを加えている製品も販売されています。
亜鉛が重要であるとされることに、皮膚や粘膜の健康維持がうたわれているのですが、亜鉛は栄養素の代謝や生命活動などに関わる化学反応に携わるミネラルです。200種類以上の酵素の構成成分であって、体内では皮膚、毛髪、肝臓、腎臓、睾丸、舌の味蕾などの新陳代謝が盛んな細胞に多く含まれます。
新陳代謝は細胞が新たに生まれ変わることを指していて、細胞は新たな状態で本来の機能が保たれているものが多くあります。亜鉛が不足すると味覚障害が起こって、本来の味を感じなくなるということがあります。それは味をキャッチする味蕾は正常な状態が長く保持されなくて、早く入れ替わる必要があります。亜鉛が不足していると入れ替わりがうまくいかずに、味覚を正常に保つことができなくなってしまうのです。
男性の場合には亜鉛が不足すると精子が正常に作られなくなるということが起こります。精子は生まれ変わりが早いので、多くの亜鉛を必要としているからです。また、男性に特有の器官の前立腺にも亜鉛は必要です。
前立腺では精子の運動や移動を促す前立腺液が作られています。前立腺には男性ホルモンが多くなっていますが、男性ホルモンが多くなりすぎると前立腺肥大となっていきます。血液中の亜鉛が多いときには男性ホルモンは適度な量が保たれているのに、亜鉛が不足すると男性ホルモンが多く集められます。
亜鉛不足によって、男性ホルモンが作られなくなるので、血液中の男性ホルモンを集めていると考えられていて、亜鉛不足は前立腺肥大を起こして排尿機能を起こすことや、前立腺がんのリスクを高めることが指摘されています。
これ以外にも、不足すると新陳代謝の低下から皮膚炎、脱毛、爪の異常、味覚異常などが現れやすくなります。男性の場合には精液欠乏症や勃起不全、女性の場合には胎児の成長不良が起こりやすくなります。
また、亜鉛は膵臓から分泌されるインスリンの構成成分で、インスリンの分泌量を調整して血糖値を下げる働きがあります。また、筋肉細胞がインスリンと反応してブドウ糖の取り込みを行う際に必要となります。食品では、カキ、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵(特に卵黄)、ナッツ類に多く含まれます。