亜鉛は新陳代謝が盛んな細胞で多く使われることから、摂取量が不足すると味覚異常が現れやすくなり、男性の場合には精液欠乏症や勃起不全、女性の場合には胎児の成長不良が起こりやすくなっています。また、血糖値を降下させるホルモンであるインスリンの分泌も低下しやすくなり、亜鉛の不足は糖尿病のリスクを高めることにもなります。
通常は部分的な効果しか言われないことが多いものの、実際には全身の機能にも影響がある重要なミネラルです。それは多くの酵素を働かせるために必要な補酵素の役割をしているからです。
酵素は、細胞の中で生化学反応を起こすために必要な代謝酵素と、消化液に含まれる消化酵素に大きく分けられます。酵素は体内の生化学反応を激しく進める触媒のような働きをしてしますが、酵素だけでは反応をすることができません。酵素は一部が欠けた状態になっていて、この欠けた部分を補う補酵素がなければ本来の働きができません。
体内の酵素は3000種類以上とされていますが、そのうち亜鉛が補酵素となっている酵素は200種類以上となっています。体内の抗酸化酵素(活性酸素を消去する役割)も、脳や肝臓、腎臓といった生命維持に直結する細胞の機能を調整する酵素、たんぱく質の合成や細胞分裂に関わる酵素も、亜鉛が補酵素となっています。
ここからは例え話になりますが、もしも社員が3000人の会社で、200人が体調不良で本来の働きができない状態だとすると、この会社は期待するような売り上げが出せなくなります。通常の状態であれば、不足している人材を他の社員が補うことができたとしても、コロナ禍で売り上げが大きく低下している中で、以前と同じような売り上げを出すために必死に働かなければならない状態だと、無理がかかって、他の社員が体調不良になって働けなくなったり、退社が続いたり、残った社員が過労死をしたり、ということにもなりかねません。
それと同じようなことが、補酵素の亜鉛が不足しているために起こりかねないのです。だから、亜鉛が不足しているときにはサプリメントの摂取がすすめられるのです。