鉄というと、赤血球を作るのに必要なミネラルであることから不足すると貧血になることが指摘されています。貧血でなければ不足していない、不足していても身体に大きな影響はないと考えられがちですが、鉄の機能がわかると、そのようなことは言っていられなくなるはずです。
鉄は、赤血球の生成とともに鉄欠乏性貧血の予防、免疫細胞の成長などの作用があるわけですが、鉄の体内での働きを見ていくと、エネルギー代謝の酵素の構成成分となるミネラルとなっています。
赤血球の色素成分であるヘモグロビンの成分として酸素の運搬、細胞への酸素の取り込み、老廃物の炭酸ガスとの取り替えの機能があります。全身の細胞は細胞を使って、エネルギー代謝を起こしています。細胞の中でのエネルギー代謝によって発生するのはエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)、二酸化炭素、水です。このエネルギー代謝の結果として発生する純粋な水は代謝水と呼ばれています。
生命維持のための活動には鉄が必要であるので、成長期の子どもや運動をする人は特に多くの鉄が必要になります。また、年齢を重ねてエネルギー効率が低下してきた高齢者にも必要なミネラルとなっています。
体内では鉄は4~5gが含まれ、60%以上がヘモグロビンの中に存在して赤血球の酸素搬送に関わっています。残りは肝臓、骨髄、脾臓などに蓄えられています。これらの臓器に多く含まれるのは食肉でも同じことで、レバー(肝臓)に多く含まれるのは、このような理由があるからです。
肉類に多く含まれるヘム鉄は、野菜などに含まれる非ヘム鉄に比べると体内への吸収率は3倍以上となっています。ビタミンCによって鉄の吸収が高められます。食品では、肉類(赤身肉)、レバー、魚類(赤身魚)、貝類、カボチャ種子などに多く含まれます。