糖尿病の治療薬として初期段階で使われるのは、胃の中で糖質からブドウ糖に分解する消化酵素のα‐グルコシダーゼを抑えるものです。これによってブドウ糖の量が減ると、小腸から吸収されるブドウ糖の量が減って、血糖値の上昇を抑えることができるということです。これと同じ作用がある健康食品の素材としてはグァバ、桑の葉、コタラヒム、サラシア、白インゲン豆、豆鼓エキスがあげられます。
これらの成分を複数使っている健康食品がありますが、同じ作用があり、しかも作用メカニズムが同様なものを複数使う必要はありません。多くの成分を使うことで有効性が高められることをアピールするために、同じ作用があるものを複数使っている例もあり、このような製品には疑問を抱いてみたほうがよいと判断しています。
同じ作用があっても作用メカニズムが異なるものとしてはアロエ、ウチワサボテン、菊イモ、ニガウリ、羅漢果エキスがあげられます。これらについては医薬品とは作用が異なるので、複数の成分が使われる製品に使われることがあります。同様の作用メカニズムのものを組み合わせることに比べたら有効性が期待できるものの、それは健康な人の場合です。糖尿病の治療薬を使っている人の場合には、医薬品の効果に及ぶものではないことから使用は控えるべきです。
というのは、医薬品と同様の糖質をブドウ糖に分解する作用を抑制するものは、医薬品の効き目を強めることになり、血糖値が急に下がることがあるからです。糖尿病の治療薬は誤って多くの量を飲むと血糖値が急に大きく下がり、低血糖を起こすことにもなります。
糖質がブドウ糖に分解されるのを抑制する健康食品の素材は、胃の中に食べたものがある間に摂ることで、糖質の分解が抑制されます。糖質は胃の中で完全に消化されるまでには平均2時間かかりますが、ブドウ糖分解抑制成分が効果を発揮するのは30~60分間であるので、糖質が分解されることからブドウ糖不足にはなりません。