活性酸素は電子のバランスが崩れた酸素で、細胞から電子を奪う作用があります。ビタミンには活性酸素に電子を与えて通常の酸素に戻す働きがあるものがあり、3種類(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE)は抗酸化ビタミンと呼ばれています。
ビタミンAは皮膚や粘膜、目の健康を正常に保つのに欠かせない脂溶性ビタミンで、レチノールとも呼ばれます。前駆体であるβ‐カロテンが体内で分解されることでも生成されます。抗酸化作用があり、目が光を感じるために必要な網膜の色素のロドプシンの主成分となっています。不足すると粘膜が弱くなり、感染症にかかりやすくなります。脂溶性であるため体内に蓄積され、過剰症では嘔吐や頭痛、脂肪肝などが起こります。
ビタミンCは皮膚や腱、軟骨などの結合組織を構成するコラーゲンの合成に欠かせず、皮膚や骨の健康維持、傷の修復に必要な水溶性ビタミンです。アスコルビン酸とも呼ばれます。腸管で鉄の吸収率を高め、抗ストレス作用がある副腎皮質ホルモンの合成を促進する作用があります。強い抗酸化作用によって過酸化脂質の合成の抑制、血管障害を予防する作用もあります。寒冷ストレスや喫煙によって体内で減少します。タバコを1本吸うと50mgが失われるとされます。
ビタミンEは強い抗酸化力を持つ脂溶性ビタミンで、トコフェロールとも呼ばれます。有害な過酸化脂質の生成を防ぎ、LDL(低比重リポ蛋白)の酸化を防いで動脈硬化を予防するほか、全身の細胞の老化を防ぐ作用があります。活性酸素によって酸化すると活性型ビタミンEとなり、体内の細胞から電子を奪う作用があります。活性型ビタミンEはビタミンCから電子を得て、通常のビタミンEに戻ります。そのため、合わせて摂ることで抗酸化力を高めることができます。
水溶性ビタミンのビタミンCは空腹時に摂っても吸収されますが、脂溶性ビタミンのビタミンAとビタミンEは油脂に溶けてから吸収されるので、食事の後に摂ります。