代謝促進物質は日本人に少ないのは、温暖な環境と食生活が関係しているということは前回(シン・日本人の体質11)、簡単に説明しました。その中で重要な代謝促進物質として、L–カルニチンについて紹介しました。
L–カルニチンは、必須アミノ酸のリシンとメチオニンを材料に体内で合成されていて、細胞の中でエネルギー産生を行うミトコンドリアに脂肪酸を通過させるために必要な成分です。脂肪酸が多くミトコンドリアに取り込まれれば、それだけ多くのエネルギーが作られ、身体も温まります。
寒い環境で暮らす民族は、脂肪が多く含まれる肉類の摂取が多く、肉にはリシンとメチオニンが多く含まれます。また、L–カルニチンは肉類にも多く含まれていることから、肉食民族はL–カルニチンが不足しにくい条件となっています。
一時期、「羊の肉は食べても太らない」ということが広まったことがありましたが、羊の肉にはL–カルニチンが多く、中でもマトンは最も多くなっています。それに次ぐのはラム、牛肉です。
L–カルニチンが少ない体質であるなら、他のものから補えばよいのではないかというのはサプリメントの発想です。サプリメントは補助、補完、補充といった意味があり、食事で不足する栄養素を補うものを指しています。
今ではL–カルニチンはサプリメントとして、よく知られる存在となっていますが、2000年より前には、健康食品・サプリメントの書籍や教科書でL–カルニチンは一切見ることはありません。というのは、L–カルニチンがサプリメントとして使うことが厚生労働省から許可されたのは2002年のことだからです。
L–カルニチンは医薬品の成分(カルニチン欠乏症対応)でしたが、厚生労働省の食薬区分の変更によって食品成分としても使うことが許可されました。ところが、登場した当初は、L–カルニチンは効果がないと言われたことがあります。
それは欧米人のデータが示されたことで、サプリメントとして摂取しても有効性が確認できなかったというものです。この結果を使って、L–カルニチンは効果がないと主張する医師などもいました。
しかし、体内にL–カルニチンが多く蓄積されている人が、サプリメントで余分に摂っても効果が得にくいのは当たり前のことです。日本人を対象とした試験では、有効性が認められ、今では疑いを持ってみられることはなくなりました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕