シン・日本人の体質3 東アジアとの体質の違い

東アジアのモンゴロイドは、同じような体型、顔立ちであることから、同じような体質であると考えられがちです。アメリカの研究機関で、中国在住の中国人に有効性(がんや肝臓など)があったキノコが、アメリカ人にも効果があるのかを研究されたことがあり、その結果として東洋人だけでなく、白人にも効果があることが確認されました。

その結果をもって、日本人にも効果があるのではないかとのことで研究が始められましたが、思った以上の結果は出なかったということがあります。その理由として考えられたことの一つに、日本人と中国人では見た目は似ていても(欧米人と比較して)体質が違っているのではないか、ということがありました。

中国人といっても多民族国家であって56民族が確認されています。そのうち漢民族は約92%を占めていて、それ以外の55民族は少数民族とされています。今の漢民族は北方系が多く、食文化的には肉食(特に豚肉)が中心であることから、体質的には肉食によって進化をしてきた欧米人と同様となっています。

そのために血管は丈夫であるものの、脂肪を摂りすぎると血管のダメージ(動脈硬化など)が強く現れがちです。歴史的な肉食のおかげで、エネルギー代謝がよく、免疫も高くなっています。漢民族の腸内細菌の種類と分布は、日本人よりも欧米人に近く、これも肉食が多い歴史的な特徴といえます。

それに対して日本人は肉食が少なく、国民的に肉食が増えたのは戦後(80年前)のことで、歴史的には身近な期間でしかありません。

日本人は肉よりも魚を食べてきたという印象があるものの、実際に魚を食べる量が増えたのは戦後に冷蔵流通が始まってからで、それまでは海に近いところ以外は魚を食べていたとしても少ない量でした。

日本は島国であることから単一の民族であったとの考え方がある一方で、弥生時代の担い手であった渡来人は、日本列島に北から南から、そして朝鮮半島から渡ってきたので、混じり合った血統と考えられています。

現在の“日本人”は数千年前(弥生時代は紀元前10世紀から紀元後3世紀)に日本に訪れた渡来人まで遡ることはしないとしても、少なくとも3世代(曽祖父)前の時代まで日本人同士で結婚した人という前提をとっています。

片親が日本人(日本の国籍)であれば、その子どもは日本人という一般的な定義は体質研究では採られていません。外見が同じであっても、体質は違っていることがあり、そこに着目しないままされている体質研究と、それに基づく健康指導は実は違っているのではないかというのが、「シン・日本人の体質」研究のスタートラインとなっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕