今回のお題の「国民的な体質は急には変わらない」は、その後に「はず」とつけるのが正しいのかもしれません。日本人は冷えやすい体質であることは、ずっと以前から言われてきたことで、中国の明の時代(日本では室町時代)の文献にも、身体が冷えやすいことを示す記録が残されています。
その理由までは書かれていないのですが、身体が冷えやすいのは科学的に説明すると血流の低さ(悪さ)が大きく関わっています。血液の温度は環境などの影響を受けることはあるものの、一定の地域に暮らす一定の人は、ほぼ同じ範囲の温度となっています。
日本人の場合は、歴史的なところは残念ながら記録には残されていないので(体温計が発明されるまでは計りようがなかった)知ることはできないのですが、今の平均的な血液温度は36.5〜37℃です。
この温かな血液が素早く巡っていれば、全身の温度を高めることができるわけです。ところが、血液の流れがよくないと皮膚からの放熱に血液による熱の補充が間に合わなくなり、冷えを感じるようになります。
冷え性だからといって、血液の温度が低いわけではないのです。冷えやすいのは手足の先が多いのは、末端であるために血液が届きにくいことがあり、脂肪が少ない部位なので保温しにくくなっているからです。
日本は長い歴史の中で、温暖な気候の時代が長かったことから、体温を大きく温める必要がなく、体温を上昇させるために効果がある脂肪を多く摂ってこなかったことがあげられます。
終戦後(80年前)に比べると、肉食の量は今では6倍にもなっていることが報告されていますが、100年や200年で熱を多く発生させるという体質が変化することはありません。そのために日本人は脂肪を多く摂ると血液がドロドロになりやすく、動脈硬化のリスクも高くなっています。
脂肪によって身体が温まり、しかも血管の健康が保たれるという体質になるためには、500年から1000年は必要だと考えられています。
ただし、このことは古くから日本で暮らす人たちの子孫に当てはまることで、海外の人との間で生まれた子ども、その子孫には通じにくいところもあります。このことについては、徐々に明らかにしていくこととします。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕