働く人の健康づくりを目的としたTHP運動と特定健診・特定保健指導について前回(セカンドステージ11)紹介しましたが、企業・団体では両方ともに取り組まれているのは大企業が多く、中小企業では実施されていないところもあり、実施されていても充分ではない、期待するような効果が得られていないという実態もあります。
日本の企業数の99.7%は中小企業・零細企業とされていて、大企業は0.3%でしかありません。従業員数でみると大企業で働く人は31%、中小企業・零細企業で働く人は69%になります。
大企業では公的医療保険を運営するための健康保険組合があるのに対して、中小企業などの多くは全国健康保険協会(協会けんぽ)が運営する健康保険に加入しています。協会けんぽに加入している企業などでは、大企業と同様にTHP運動に取り組んでいるところもあるものの、健診結果に基づいた栄養・運動・保健などの指導が充分に行われていないことも事実です。
2025年4月から65歳の定年延長、70歳までの雇用努力義務が実施される中、働きたいと願う年齢まで健康を維持できるようにするための働く人の健康づくりが、以前にも増して重要になってきます。
そのための健康指導を外部に求めるだけでなく、企業などの内部にも指導ができる人材を配置することが期待されています。しかし、従業員が少ない企業などでは専門の担当者を置くことも難しいところがあり、担当者がいたとしても充分な情報を得ることもできず、法定健診や特定健診だけで済ませているところも少なくありません。
法定健診、特定健診を実施して、企業内で働く人の健康状態を把握したとしても、その結果に合わせた健康の維持・増進、改善の方策が取れないということでは、「健康管理は従業員に任せきり」「自己責任にしている」と指摘されても仕方がない状況です。
これを改善しようとする活動は多くの機関によって実施されていますが、70歳までの雇用の努力義務の時代に合わせた新たな対応に取り組む団体の活動が期待されているのです。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕