セカンドステージ18 講習のタイミング2

健康づくりを支援するためのガイドラインは、これまでにも厚生労働省によって複数のものが提供されてきました。その中から睡眠に関するガイドラインの概要を紹介します。

睡眠指針については、平成15年度に「健康づくりのための睡眠指針〜快適な睡眠のための7箇条〜」が策定されたのが始まりで、次いで平成26年度に「健康づくりのための睡眠指針2014」が策定されました。

これらの指針を活用して、「21世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21〔第二次〕)」における休養分野の取り組みが進められてきました。

「健康づくりのための睡眠指針2014」の策定から約10年が経過し、睡眠に関する新たな科学的知見が蓄積されています。

その一方で、「健康日本21〔第二次〕最終評価」において、休養分野の指標である「睡眠による休養を十分にとれていない者の割合」は、ベースライン値の18.4%(平成21年)から、15.0%(令和4年度)に低下させることを目標としていましたが、最終評価時は21.7%(平成30年)とむしろ増加しており、D(悪化している)と評価されています。

年齢階級別に分析すると、特に中高年者(50歳代)において増加の度合いが大きかったことが報告されています。

こうした状況を踏まえて、休養・睡眠分野の取組をさらに推進するため、健康づくりに寄与する睡眠の特徴を国民にわかりやすく伝え、より多くの国民が良い睡眠を習慣的に維持するために必要な生活習慣を身につける手立てとなることを目指し、最新の科学的知見に基づき「健康づくりのための睡眠指針2014」を見直し、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を策定されました。

「健康づくりのための睡眠指針2014」との大きな違いは、令和6年度から開始する国民健康づくり運動である「21世紀における第三次国民健康づくり運動(健康日本21〔第三次〕)」において目標として掲げられた適正な睡眠時間と睡眠休養感の確保に向けた推奨事項を「成人」「こども」「高齢者」と年代別にとりまとめた点です。

また、良い睡眠には、光・温度・音等の環境因子、食生活・運動等の生活習慣、睡眠に影響を与える嗜好品との付き合いも重要であるため、科学的知見を踏まえて、これらについて留意が必要な点を参考情報としてとりまとめられました。

さらに、睡眠に関連する症状には、「睡眠障害」に起因するものがあるため、「睡眠障害」についても概説するとともに、女性の健康等の観点から、女性ホルモンの変動が睡眠に及ぼす影響や、現代社会の維持に不可欠な勤務形態の一つである交替制勤務における睡眠の不調等の健康リスクや生活習慣等において工夫できる点も含め整理されました。

全体の構成については、国民一人ひとりが、それぞれのライフスタイルに応じて良質な睡眠の確保ができるように、ツールとしての活用性等も考慮した構成としています。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕