働く人の健康づくりを目的としたTHP運動は、企業・団体では両方ともに取り組まれているのは大企業が多く、中小企業では実施されていないところもあり、実施されていても充分ではない、期待するような効果が得られていないという実態もあります。
日本の企業数の99.7%は中小企業・零細企業とされていて、大企業は0.3%でしかありません。従業員数でみると大企業で働く人は31%、中小企業・零細企業で働く人は69%になります。
大企業では公的医療保険を運営するための健康保険組合が存在しているのに対して、中小企業などの多くは全国健康保険協会(協会けんぽ)が運営する健康保険に加入しています。
協会けんぽに加入している企業などでは、大企業と同様にTHP運動に取り組んでいるところもあるものの、企業規模などによって健診結果に基づいた栄養・運動・保健などの指導が充分に行われていないことが指摘されています。
協会けんぽの加入者は、約234万事業所、約4029万人(国民の3.2人に1人)が加入する最大の保険者です。これに対して健康保険組合は1394事業所、約2948万人で、全体の約8割は従業員が9人以下(半数が2人以下)の規模となっています。
また、共済組合は85組合、約865万人となっています。共済組合は、国家公務員や地方公務員、私立学校教職員など同種職域に従事する人を対象とした相互扶助を目的とした団体で、医療保険、年金基金の役割を担っています。
企業などで働く人の健康づくりサポーターとして、THP運動の担い手である産業栄養指導者、ヘルスケア・トレーナー、産業保健指導者、心理相談員が存在することから、これらの方々の指導を受けることが期待されているものの、中小企業や零細企業で働く人、個人事業主には、その指導が及ばないのが実態です。
そこで、企業や団体の中に、健康づくりの指導者となる人材、外部の指導者(管理栄養士、健康運動指導士など)との橋渡し役となる人材を育成して、大企業などと同等の健康づくりが実施できる体制が求められています。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕