労働者の心身の健康問題に対処するために、早い段階から心身の両面について健康教育などの予防対策に取り組むことが重要であることから、事業場において、すべての労働者を対象として心身両面の総合的な健康の保持増進を図ることが必要とされます。
労働安全衛生法に基づき、労働者の健康の保持増進のための措置が適切かつ有効に実施されるために、措置の原則的な実施方法について、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」が定められています。
その中から、労働者の高齢化を見据えた取り組みについて紹介します。
〔事業場における労働者の健康保持増進のための指針〕
◎労働者の高齢化を見据えた取組
労働者が高齢期を迎えても健康に働き続けるためには、心身両面の総合的な健康が維持されていることが必要であり、若年者からの運動の習慣化や、高年齢労働者を対象とした心身機能の維持向上のための取組等を通じて、加齢とともに筋力や認知機能等の心身の活力が低下するフレイルやロコもティブシンドロームの予防に取り組むことが重要である。
健康の保持増進措置を検討するに当たっては、このような視点を盛り込むことが望ましい。
また、加齢に伴う筋力や認知機能等の低下は転倒等の労働災害リスクにつながることから、健康状況の継続的な把握のもと、高年齢労働者の安全と健康保持のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)に基づき、対応することが重要である。
◎健康指導の実施
労働者の健康状態の把握を踏まえ、実施されて労働者に対する健康指導については、以下の項目を含むもの、または関係するものとする。また、事業者は、希望する労働者に対して個別に健康相談等を行うように努めることが必要である。
*労働者の生活状況、希望等が十分に考慮され、運動の種類および内容が安全に楽しく、かつ効果的に実践できるよう配慮された運動指導・ストレスに対する気付きへの援助、リラクゼーションの指導等のメンタルヘルスケア
*食習慣や食行動の改善に向けた栄養指導
*歯と口の健康づくりに向けた口腔保健指導
*勤務形態や生活習慣による健康上の問題を解決するために職場生活を通して行う、睡眠、喫煙、飲酒等に関する健康的な生活に向けた保健指導
併せて、高年齢労働者に対しては、フレイルやロコモティブシンドロームの予防を意識した健康づくり活動を実施することが重要である。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕