セカンドステージ29 誰のための身体年齢測定か

働く人の健康状態を的確に把握することは、企業や団体の経営者・運営者に強く求められることで、その把握した健康情報は企業・団体の健全な運営に役立てられてこそ、健康把握を実施した目的が達成されることになります。

定期的に実施される健康診断は、受診する人(働く人)にとっては個人の健康状態を知って、注意すべきことと改善すべきことを知って、それに取り組むきっかけとされるのは当然のことといえます。

企業は働く人の健康状態を把握して、労働時間の短縮、作業転換などの措置を行い、生活習慣病の予防と改善をすることが求められます。中でも脳血管疾患と心臓疾患の発症の防止に務めることが重要であり、このことは労働安全衛生法の主旨です。

個人の状態を把握して、それによって働く人の有意になることを目指していて、少なくとも不利になることの情報を得るために実施されるものではありません。企業・団体の運営者の把握と措置、働く人の意識改善と行動の両方が組み合わされることによって、企業の健康度が高まっていくということです。

このことは健康経営の考え方が普及するにつれて、理解は進んできました。その一方で、法定健診に含まれていない健康度を判定する指標に対しては、まだ理解が進んでいないところがあります。

セカンドステージ連盟では、身体年齢測定によって、これまでの健診ではわからなかった暦年齢と実年齢との差を明らかにして、これを企業・団体の健康づくりに役立てる活動を行っています。

その目的は、所属する働く人の健康度を経営者が把握して、労働環境の変更や仕事の内容を変更することで、企業・団体にとっても個人にとっても、よりよい状況を作り出していくことです。

個人の状態を判定することによって、それぞれの人に対して健康であること、元気に働くことを義務のように求めるための測定ではありません。企業・団体が集団として、全体的に元気で活動できるようにするための基礎データとして活用するために開発され、その通りに実施しています。

ところが、個人の状態が年齢として判定されることに対して、抵抗感を示す人もいます。これは身体年齢測定の判定法や活用法が間違っているということではなくて、身体の状態を把握して、個人にも企業・団体にもよい結果となるように実施するということが充分に理解されていないために起こることです。

働く人の健康への考え方、改善についての取り組みが、どこまで行われてきているのか、それを働く人が受け入れているのかという、企業・団体がやってきたことの判定となっているということを気づいてほしいのです。そのために、身体年齢測定を健康づくりの一環としてすすめているのです。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕