日本の年金制度は平均寿命の延伸、定年退職年齢の変遷と関わって受給開始年齢が高められてきました。年金制度が始まった当時の平均寿命は50歳に達していなくて、男女ともに平均寿命が50歳を超えたのは終戦から2年後の1947年(昭和22年)のことでした。
前回(セカンドステージ2)、「サザエさん」の父親の磯野波平さんの年齢設定が54歳で、原作では54歳になったのは1949年(昭和24年)でした。男性の平均年齢は56.2歳で、当時の定年退職は55歳であったので、定年まで1年、その1年後は平均寿命という状態だったわけです。
定年から平均寿命までが年金を受給できる期間と考えると、随分と受給期間は非常に短く、平均寿命(受給期間)は延びることは計算に入れられていたものの、それを大きく越える受給期間であるので、受給金額が増えないのは仕方がないという状況であることがわかります。
それだけに、65歳を過ぎても働きたいという人は増え、定年延長を目指して高年齢者雇用安定法が改正されて、2025年(令和7年)4月からは希望すると70歳まで働くことができる制度が始まります。
年金の受給開始年齢の変遷を見ると、年金制度が始まった1942年(昭和17年)の受給開始年齢は男性が55歳で、女性も受給できるようになったのは1944年(昭和19年)のことです。
1954年(昭和29年)には男性が60歳になり、女性は55歳のままでした。続いて、1985年(昭和60年)には男性は65歳に、女性は60歳になりました。そして、1994年(平成6年)に男女ともに65歳が年金受給年齢となりました。
実質の給料が30年間上がっていなかったという時代背景があり、65歳以降も働きたいと考える人は大きく増えてきましたが、そのためには元気でいなければならないということで、セカンドステージ(第二の人生)を目指して健康の維持・増進に努めることが必要とされる時代になっているのです。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕