介護予防は、要介護状態の発生をできる限り防ぐことが第一義です。この予防がうまくいかずに要介護状態になった場合には悪化をできる限り防ぐことが次の目的となります。
要介護状態の発生を防ぐといっても、高齢化が急速に進み、日本人の平均年齢が50歳を超えた現在では、防ぐというよりも“できるだけ発生を遅らせる”ことが中心になるのは仕方がないことです。
介護予防の目的は、介護を減らすこと、介護状態になったとしても介護の手間が軽減されることで、国民的に健康度を高め、自立した生活を送れる(医療と介護に頼らずに済む)期間の延長、介護期間の短縮、介護の負担の軽減を目指して、最終的には介護保険給付金の抑制が期待されています。
健康づくりの活動については、「健康な要介護者を増やす」ということが言われたことがあります。この言葉は誤解を招いたこともあって今では使われなくなっていますが、重要なポイントが隠されています。
介護を受けるようになった高齢者は、健康面でも低下した状態になると一般には認識されています。高齢者は運動機能の低下があり、内臓の働きも低下傾向にあることから、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)も多くなる傾向があり、さらに動脈硬化、心疾患、脳血管疾患といった合併症によって、健康とは呼びにくい状態であるのは通常の認識です。
生活習慣病があると運動機能の低下が起こりやすいのは事実で、生活習慣病がなければ加齢によって運動機能が進んでいったとしても低下の速度を遅くすることは可能です。
生活習慣病と運動機能低下が重なると、70歳前後から急に機能低下が低下していくようになります。それだけに生活習慣病のない「健康な状態」であることが介護の発生を遅らせ、介護が必要になっても負担を軽減させることもできます。
足腰の機能低下は何も65歳以上の高齢者で起こるものではなく、その始まりは55歳から始まります。労働安全衛生法では、55歳以上は高年齢者に分類されていて、筋力の低下だけでなく、反射力や注意力の低下もあって事故が起こりやすくなります。
この事故が、後々に介護の状態を重くすることにもなるので、55歳を過ぎた頃から生活習慣病の予防と改善、それに運動習慣によって対応することが重要になってくるということです。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕