新型コロナウイルス感染拡大を抑制するためには、マスク、手洗い、ソーシャルディスタンスが重要だとされ、店舗や公共施設などでは手洗いではなくて、消毒となります。ソーシャルディスタンスは3密の最も重要な対策であるとして、ソーシャルディスタンスは最初は2m以上が提唱されましたが、2mも離れるようにしたら客席数を半分にしただけでは対応できなくなることから、いつの間にか1mと言われることが多くなりました。そして、今までと同じだけの客を入れてもパネルで区切られていれば大丈夫というように、だんだんと緩められてきています。
ソーシャルディスタンスというと、socialは「社会的」、distanceは「距離」ということで、この2つの言葉を繋げると「人と人との社会的な距離を広げること」ということになり、社会的という言葉を使われると人と人との関わりが思い浮かべられます。これでは人と人との関わりを断つことだと誤解されがちだといって、今ではフィジカルディスタンスという言葉を使うようにしようという提案もされています。physicalは身体的や物理的という意味で、これにdistanceが続くと実際の距離を表すことになります。
WHO(世界保健機関)も、ソーシャルディスタンスからフィジカルディスタンスに呼び方を改めるようにしています。しかし、ソーシャルディスタンスは深く浸透していて、フィジカルディスタンスを使っている人は、あまりいない、というか、ほとんどいません。というのは、新型コロナウイルス感染を抑制するために介護施設は家族でも会わせない、公共施設では高齢者が集まるイベントは人数に関係なく開催もされないという状況で、これは社会的な関係を断つ行為そのものです。このソーシャルディスタンスが、いつまでも続けられている状態では、フィジカルディスタンスが受け入れられないのも当然のことかもしれません。
ソーシャルディスタンスは、社会的な距離だけでなく、心理的な距離も意味していて、例えば発達障害のある人を社会的に受け入れないばかりか、その人たちは社会参加しにくいような心理的な側面も含んでいます。その意味でも、早く変わってほしいと願われているところです。