入浴後の食事は、入浴温度によって消化・吸収に違いが起こります。中でも大きく影響するのは夕食です。
夕食は、寝る前と寝ている間に使われるエネルギーとともに、翌朝に摂った食事のエネルギーが使用できるようになるまで、その間のエネルギーを補うための重要なエネルギーの蓄積の機会となります。
夕方には副交感神経の働きが盛んになり、胃液とインスリンの分泌が高まります。また、身体活動も低下させていきますが、これによって中性脂肪の合成と蓄積を高めて、エネルギーを補給させています。食事で摂ったエネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質は、どれも肝臓で脂肪酸に合成されて、脂肪酸が3個結びついた中性脂肪となり、体脂肪として蓄積されていきます。
脂肪酸の合成を進めて、体脂肪を多く蓄積させるためには、副交感神経の働きが盛んな夕方以降であるので、さらに副交感神経を刺激する方法を取ればよいわけです。
自律神経は、生体機能を自動的に調節する神経で、興奮系の交感神経と抑制系の副交感神経の切り換えは、自らの意志では調整することができないとされています。しかし、例外があり、入浴の温度によって容易に切り換えることができます。
42℃以上の高めの温度で入浴すると交感神経の働きが盛んになり、逆に38℃以下のぬるめの温度の入浴では副交感神経の働きが盛んになります。眠いときに熱めのシャワーを浴びると目が覚めるのは交感神経に切り換わった結果であり、ぬるめのお湯に入ると心身ともにリラックスできるのは副交感神経に切り換わった結果です。
夕食前に、ぬるめのお湯に入ると副交感神経の働きが盛んになり、胃液とインスリンの分泌が盛んになって、体脂肪を多く蓄積させることができるようになります。
それに対して、交感神経の働きを盛んにして体脂肪の蓄積を抑制するためには、熱めのお湯に入ればよいわけですが、入浴による休息効果が得られにくくなります。そこで、適温で入浴して、浴室を出る直前に熱めのシャワーを浴びることがすすめられます。
夕食を食べるだけという人なら夕食前の入浴は可能でも、夕食を作る役割の人にとっては、入浴した直後に夕食を食べるというのは不可能に近いことです。そこで短時間で済む熱めのシャワーを浴びる方法がすすめられます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕