「転ばぬ先の杖」という諺(ことわざ)は、失敗しないように前もって充分に準備しておくべきだということを意味しています。転んでから杖を用意しても間に合わないということで、杖の用意は大切だと言われています。
他の表現では、「備えれば憂なし」「石橋を叩いて渡る」「濡れぬ先の傘」「念には念を入れる」「用意周到」ということになりますが、実際に杖を使うことになった人が、そのような状況にならないように普通に歩ける段階から杖を使って歩くようなことはしないはずです。
テーマとして「転ばぬ先の杖」を選んだのは、杖を他の言い方に変えると重要な健康づくりのウォーキングの意味が出てくるからです。
杖は英語ではstickとcaneがあげられます。Stickは歩行用の杖、caneは足などが不自由な人用の杖と使い分けられています。スティック(stick)という用語はウォーキングの世界でも使われていて、ノルディックスタイルの2本のポールを使ったウォーキングのポールを指しています。
ノルディックスタイルには北欧発祥のスポーツタイプのノルディックウォーキングと、日本発祥の高齢者を想定したポールウォーキングがあります。どちらも足腰を強化して、転ばないようにする効果があるものの、実際に転倒防止を考えた場合にはポールウォーキングが中心になることから、今回のテーマの「転ばぬ先の杖」の杖はポールということになります。
ポールを使ったウォーキングは、ポールなしには歩けないということではなくて、まだ普通に歩けるうちに始めることがよいと考えられています。というのは、ポールを使うと足腰の負担を減らして、歩幅を広げて勢いよく歩くことができるようになります。
ポールを使って歩くことで、ポールがなくても普通に歩けるようにする、元気に歩けるようにするということを目的としています。そして、ポールなしでも転ばないように歩くことができる人が増えることを願って普及しているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕