血圧は血管の動脈にかかる圧力のことで、心臓から送り出された血液の勢いによって高まっていきます。血圧が上昇する原因は複数あるのですが、内臓脂肪の蓄積によっても上昇します。
内臓脂肪が蓄積すると悪玉の生理活性物質のアンジオテンシノーゲンが分泌されます。この生理活性物質はインスリン抵抗性を引き起こして血糖値を上昇させることが知られていますが、それと同時に血管を収縮させ、さらに血液中の塩分濃度を高めるために、血圧を上昇させます。
血圧の上昇を抑えるために、高血圧の原因とされる塩分(ナトリウム)の摂取量を減らすことがすすめられるものの、アンジオテンシノーゲンによって塩分濃度が高まってしまうと、その効果が充分には得られなくなってしまいます。
肥満と呼ばれるほどに太ると、血管の外側にある脂肪細胞が膨らむことになり、血管が圧迫されて血液が送り出されたときに弾力をもって膨らみにくくなります。そのために血液による圧力が血管に強くかかるようになって、血圧が高くなっていきます。
また、肥満になると、脂肪細胞の中にたまっている脂肪を血液中に放出するために自律神経の交感神経の働きが盛んになり、脳から興奮作用があるアドレナリンが多く分泌されるようになります。アドレナリンは血圧を上げるホルモンでもあるので、多く分泌されるほど血圧は上昇していくようになります。
20歳のときよりも10kg以上も太った人は、脂肪細胞が肥大増殖型になっています。脂肪を多くためているのは正常な状態ではないために、常にアドレナリンが多く分泌され、常に血管が収縮して血圧が上昇することになります。
内臓脂肪を減らすのに効果があるのは有酸素運動です。有酸素運動は、酸素を吸いながらの運動で、酸素を体内に多く取り込みます。脂肪を分解する働きをする酵素のリパーゼの働きによって分解された脂肪酸は、細胞のミトコンドリア内で酸素を使ってエネルギー代謝されます。細胞の中でも代謝によって多くのエネルギーを作り出しているのは筋肉細胞です。
有酸素運動にはウォーキングやサイクリング、ジョギング、エアロビクスなどがありますが、運動をしなれていない人にとってはジョギングやエアロビクスは身体への負担が大きくなります。その結果として負荷がかかりすぎると、通常の酸素摂取では間に合わずに無酸素運動と同様の状態にもなりかねません。
リパーゼは平常の体温では、それほど働きがよくはなくて、身体を動かして筋肉が温まってくることによって働きがよくなっていきます。歩き始めてから10分くらいまではブドウ糖が盛んに代謝していて、その後に脂肪の代謝が盛んになっていきます。
有酸素運動は、無酸素運動に比べると血管への負担が少なく、血管の弾力性を高めることにも役立つため、血圧が高めの人でもウォーキングなら安心して続けることができます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕