ノルディックのポールが歩き方に合っていない

ノルディックスタイルのウォーキングは2本のポールを用いて歩くものですが、ウォーキング法によってポールの種類が使い分けられています。一つは北欧で発祥したクロスカントリースキーの夏場のトレーニングとして始まったノルディックウォーキング用のポールの先が斜め45度のゴムパッドが取りつけられたもので、ポールを後方について推進力を得て勢いよく歩くためのものです。後方に押し出すことからグリップが握れずに一瞬、手が離れることがあるためにストラップで手とポールを結ぶようになっています。
もう一つは日本で生まれた高齢者にも対応できるもので、ゴムパッドは丸型か平型になっています。ポールを使って上体を支えることによって身体を安定させて、下肢の負担を減らすことで安心して歩くことが目的で、グリップは完全に握る形となっています。こちらはノルディックウォーキングに対して、ポールウォーキングとも呼ばれています。
ノルディックウォーキング用のポールもポールウォーキング用のポールも目的に合った使い方をすれば充分にウォーキングの効果が得られるように考えられていますが、ポールの目的と違う使い方をするとトラブルを起こしかねません。
高齢の方でノルディックウォーキング用のポールを持っている人がいると、必ずといっていいほど歩き方を聞くようにしています。そして、時間があるときなら歩き方を見せてもらうようにしています。高齢の方でノルディックウォーキング用のポールを持っている人の中には見た目は丈夫そうでもないのに、ポールを持って歩くとグイグイと勢いよく歩く人もいるので、すべての人がポール選びを間違っているのでは、と考えることはできません。しかし、選び方が間違っている人がいるのも事実で、どうやって歩いているのか気になって仕方がありません。
ポールウォーキングのときには、ポールは前側につくのが基本となります。歩き慣れて、少し早めに歩けるようになってきたら横につくようになっていきますが、勢いよく前に足が出る分だけ足がポールを追い越して、ポールは少し斜め後方の角度になります。そういった歩き方に対応するようにゴムパッドは丸くなっています。
前か横について歩くようにしている方がノルディックウォーキング用のポールを使って歩くと、ゴムパッドに45度の角度がついているので、着地するのは面ではなく線になります。あくまで45度の角度でポールをつくことによって面で接地するようになっているので、ゴムパッドの端の線での接地では不安定になります。丸いゴムパッドだと面にはなるものの狭い範囲です。そこでパッドを平らにしたタイプが登場しましたが、接地する部分は丸型になっているのでポールを垂直につくとピタッと地面に接するものの、ポールが斜めになると円形の側面が触れるようになるために、やはり不安定になります。
これを解決するために、ゴムパッドに柔軟性を持たせたものが開発され、これは1社が特許を持っています。これなら前突きでも斜めについても面で接地するので、安心して腕の力をポールを通じて路面に伝えることができます。こういった安全で効率のよいポールがあるので、ノルディックウォーキング用のポールを使っている人を見たら、それは声をかけたくもなります。「こういうポールに代えたほうがよい」とまでは言いませんが、種類があることだけは伝えたくなります。