ビタミン様物質は偉いビタミンなのか

健康セミナーのQ&Aコーナーでのこと、「ビタミンで様がついているのは、すごいビタミンなんですか」という質問を受けました。ビタミンは身体の中では作られないものなので食品から摂る必要があるわけですが、様(さま)がつけられるほど優れた働きがあるなら是非とも摂りたいと言われて、様(よう)を様(さま)と読んでしまったことがわかり、ビタミン様(よう)物質の意味を紹介しました。
専門家のセミナーに参加していたときに、やはりビタミン様物質の話が出て、「それはビタミン様物質で、ビタミンとは違うもの」と簡単に決めつけて質問への返答にした講師がいましたが、疑問にはわかってもらえるまで付き合うのが私たちのスタンスです。
それで答えとして話したのは、「体内で作られるビタミンのような働きをする物質ということで、ビタミン様物質と呼ばれています」ということから始めます。ビタミンのような働きというのは何かというと、代謝に関わる働きです。代謝にはエネルギーを作り出すエネルギー代謝と、身体に必要な成分を作り出す物質代謝があります。ビタミンのうち代謝に関わるのは主には水溶性ビタミン(ビタミンB群、ビタミンC)です。水溶性ビタミンではないのに、これと同じように働くのがビタミン様物質で、α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10、多価不飽和脂肪酸などがあげられます。
ビタミン様物質には、ビタミンではないのにビタミン◯◯とビタミン名がつけられているものがあります。これは発見当初はビタミンであると考えられたことから起こったことですが、ビタミンFは多価不飽和脂肪酸、ビタミンNはチオクト酸です。チオクト酸はα‐リポ酸の別名です。ビタミンQはコエンザイムQ10です。三大ヒトケミカルのうちα‐リポ酸とコエンザイムQ10は英字一文字がつけられていますが、もう一つのL‐カルニチンはビタミンBTとなっています。
この他に通常のビタミン名ではなく英字がつけられたビタミン名としては、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンM(葉酸)、ビタミンP(ケルセチン)、ビタミンS(サリチル酸)、ビタミンU(塩化メチルメチオニンスルホニウム)があります。ビタミンUはキャベツから発見されたことからキャベジンとも呼ばれる胃粘膜を保護する成分です。
ビタミン様物質は体内で合成されるということは摂取しなくてもよいという考え方もされがちです。「摂取する必要はない」と書かれている教科書も存在しています。それなのにビタミン様物質が使われたサプリメントもあります。これは必要がないのに“効果がある成分”ということで無理に加えていると考えられることもありました、しかし、体内で合成されるといっても、合成のために必要な成分が足りていなければ充分に合成されなくなります。また、合成能力は年齢を重ねていくと低下していくために、代謝が低下する年齢では充分に合成されていない結果であるということも、よくみられることです。その代表的なものが三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。
ビタミン様物質は代謝に必要な成分ということで、代謝をテーマとしている日本メディカルダイエット支援機構の講習と情報発信の中で頻繁に出てきますが、それぞれの有効性と使用法などの情報は、このコーナーでも次々に行っていきます。