ファスティングを実施しているときに生命維持と活動のためのエネルギーが不足しないのは身体に蓄積されたエネルギー源が充分にあるからです。健康体であれば体内に蓄積されたグリコーゲンからブドウ糖を作り、体脂肪から脂肪酸を作ってエネルギー源は確保することができます。
グリコーゲンの貯蔵量は肝臓で100gほど、筋肉(骨格筋)には平均して300gほどとなっているので、3日ほど食べなくても健康面で影響を受けずに過ごすことは可能です。
しかし、人間はエネルギー源だけで生きているわけではありません。エネルギー源は、あくまで源であって、これを材料にして細胞内のミトコンドリアでエネルギーを作り出す必要があります。ミトコンドリアは体重の10分の1ほどもあり、それだけ重要であり、エネルギー産生のためには多くの成分が必要となります。
身体を動かしていなければ、それほど多くのエネルギーは必要ないように思われがちですが、通常の1日の消費エネルギー量のうち70%ほどは生命維持のための基礎代謝に使われ、そのうちの体温維持だけでも70%ほどが使われています。つまり、50%ほどは体温を維持するために使われています。
食事を摂らない状況であってもブドウ糖と脂肪酸を使って、ミトコンドリアの中でエネルギー産生が続けられています。そのエネルギー代謝にはビタミン、ミネラルが必要となります。体内に蓄積される成分もあり、摂取しなくても短期間であれば保持されるものもありますが、水溶性ビタミンは毎日摂る必要があります。
中でもエネルギー代謝に絶対に必要なビタミンB群のビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂は欠かすわけにはいきません。ビタミンB₁とビタミンB₂は24時間ほど体内に保持されるのに対して、ビタミンB₆とビタミンB₁₂は12時間ほどしか保持されません。
そのため、ファスティングの期間でも朝食と夕食の時間には、これらが含まれる食品か酵素、サプリメントを摂らなければいけないということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕