ファスティングに活用される酵素は、有益菌を用いて、原材料を発酵させることによって得られるものです。原材料となる植物(野菜、果物、薬草など)の細胞の中に含まれている酵素は通常は硬い細胞膜(殻)の中にあって、これを取り出すためには細胞膜を破壊する必要があります。
細胞膜は糖が鎖状につながり、それが結びついた構造をしていることから硬くなっていますが、破壊する方法としては、圧力をかける、薬剤で溶かす、有益菌に糖を取り込ませて壊すといったことがあげられます。
その中で、飲料や食品として使われる酵素を取り出す方法として使われているのは有益菌による発酵で、この場合の発酵は人間にとって有効な微生物が活動して、物質を分解することを指しています。
有益な微生物による活動ということでは、体内の腸内細菌の善玉菌と同じように考えることができます。腸内には善玉菌と悪玉菌が棲息しています。発酵によって腸内環境を保つのによい結果をもたらす菌が善玉菌に分類されています。
善玉菌は糖質や食物繊維を取り込んで、内部で代謝によって酸性の物質を作り出しています。腸内は弱酸性に保たれていることが善玉菌が増えやすく、悪玉菌が増えにくくなっています。また、弱酸性に保たれることによって腸壁の粘膜が正常になり、吸収もよくなり、蠕動運動も正常に行われるようになります。
悪玉菌は動物性たんぱく質や脂肪を取り込んで、内部で代謝によってアルカリ性の物質を作り出しています。このアルカリ性の物質が多くなると、腸内が正常な状態の弱酸性に保たれなくなって、善玉菌が増えにくくなり、悪玉菌が増えてしまうことになります。もちろん、腸の生理学的な活動も低下するようになります。
悪玉菌も腸内で悪さをするだけでなく、一定のビタミンの吸収に役立つことがあるために、腸内を善玉菌だらけにすることはできません。それに対して、酵素を作るために使われる菌は、すべてを有益菌にすることができます。
そうすることによって発酵を大きく進めることができるわけですが、菌は種類によって酸素が好きなものと酸素が苦手なものがいて、適度に攪拌することによって、それぞれの菌に適した酸素の状態にすることができるようになります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕