ファスティング9 満腹中枢の機能を整える

食事をして満腹中枢が働くと食欲にストップがかかります。これとは逆に空腹を感じると摂食中枢が働いて食欲が湧いてきます。満腹中枢と摂食中枢の働きに影響を与えているのは血糖値です。食事で摂った糖質に含まれるブドウ糖は胃から吸収されると血液中に入ります。血液中のブドウ糖が血糖で、その量を示す値が血糖値です。

脳の視床下部まで多くのブドウ糖が届くと、多くの食事を摂ったサインとして感じて、満腹中枢が働き、食欲が抑制されます。血糖値が上昇して満腹中枢が働くまでには15分ほどの時間がかかります。

これよりも早く食べたときには満腹中枢が充分に働かずに、胃の中が満杯状態になっていても、まだ食欲が抑制されなくなり、多くの量を食べてしまうことにもなります。
ゆっくりと時間をかけて食事をすると、少ない量の食事であっても徐々に血糖値が上昇して、15分後には満腹中枢が働き、食べすぎを抑えることができます。

できるだけ15分を超える時間をかけて食事をしたいのですが、特に重要となるのは夕食です。夕食の時間帯は、自律神経の副交感神経の働きが盛んになっていて、胃液の分泌が増えやすくなっています。

そのために食べた量の割には太りやすくなります。また、副交感神経にはインスリンの分泌を増やす働きがあるため、肝臓での中性脂肪の合成が進みやすくなるという、太りやすい食事となっています。

よく噛んで食べると唾液によって消化が進みやすくなり、糖質からブドウ糖に分解されるまでの時間が短くなって、これによっても満腹中枢が働きやすくなるものの、それほどの短縮にはなりません。

しかし、よく噛んでから飲み込む咀嚼に時間をかけると、咀嚼筋が刺激されて視床下部からヒスタミンが分泌されるようになります。ヒスタミンには満腹中枢を刺激する作用があるため、満腹感を早く得ることができるようになります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕