贈る側も貰う側も嬉しいギフト商品というとフルーツが代表的なものです。フルーツのよさは収穫時期が限られていて、その中でも特においしい時期が決まっています。環境が生育に影響するので地域色が強く、希少価値があり、何といっても価格的に高いということがあげられます。
なぜ高いのかというと、一番の食べ頃に収穫すると店頭で販売できる期間が短くなり、傷みやすく、水分が多いために重いことで送料がかかるうえに、産地が限られていることから運び出す距離が長くなって運送料が高くつきます。
「フルーツ=高級」というイメージがあって、形が悪いもの、形や大きさが不揃いなもの、色が一定でないものは売りにくいというデメリットがあります。売れ残ったものは早く売らないといけないので、“叩き売り”状態で安くされます。叩き売りといえば、バナナの代名詞とされた時代があります。以前はバナナは台湾から常温で船便によって運んできていたので、すぐに売り切らないと、それこそ売り物にならなくなるので早く売るしかなかったのです。
それならバナナは安く売られていたのかというと、決して安いものではなくて以前は高級品でした。果物屋(フルーツショップ)でもメロンと一緒に上段の高級品コーナーに並んでいました。今でこそ入院患者に高級品のメロンをお見舞いに持っていったら、「不治の病なのか」と悩んでしまうというお笑いのネタがありますが、以前はバナナが同じギャグに使われていました。
生のバナナは高いので、乾燥させたバナナチップを食べていたという高齢者の方も多かったはずです。多くの量が作られても売れる量、運ぶことができる量は決まっているので、それ以外のものは乾燥させて保存して、タイミングがよいときに販売されました。乾燥させるので軽くなって輸送費が安くつくのも大きな利点です。
バナナチップは食べやすくするために糖分を多く加えて、甘いお菓子になっていましたが、フルーツを乾燥させたドライフルーツは砂糖を加えなくても充分に甘くて、おいしく食べられます。ドライフルーツなら形、大きさ、色、味の違いなどに関係なく無駄なく加工することができるので、価格が抑えられます。フルーツは安定的に高い価値で販売しようとすると一定の量の栽培が必要になりますが、ドライフルーツは少ない量であっても乾燥させて作り、少量ずつ生産したものを集めて販売できます。
フルーツを乾燥させただけでは腐敗する可能性もありますが、砂糖を加えて(砂糖水に浸けて)甘くすると腐敗しにくくなります。砂糖には水分を吸着する働きがあるので、ドライフルーツが軟らかくなるメリットがありますが、ドライフルーツの周囲の水分が少なくなって菌が繁殖しにくくなります。ドライフルーツに砂糖が使われているのは甘くして食べやすくするためではなかったのです。
ドライフルーツにすると水溶性のビタミンCは減るものの、脂溶性のビタミンAやビタミンE、ミネラルは破壊されずに残り、食物繊維も、活性酸素を消去する抗酸化成分の色素も残ります。これらの成分は水分が抜けることによって凝縮されるので、栄養補給に適した食品となります。皮を剥かずに丸ごと食べられるメリットもあります。なんといってもフルーツに比べると安いので、多くの量を食べることができます。
こういったメリットがあるので、地域の物産を活かした健康づくりの食材にはもってこいです。