ポストコロナ「孫にも衣装」2

可愛がられすぎ、甘やかされすぎの中で育てられた“ゆとり世代”は2021年時点では17歳から34歳で、上の年齢は子どもがいる年代です。ゆとり世代は親になり、ゆとり世代の親は祖父母にもなっています。自分が経験したことを、子どもには経験させたくないと言って、教育を受けさせ、よい生活ができるように自分を犠牲にしてでも応援してくれたのは戦中・戦後を生き残ってきた、今の祖父母世代の、もう一世代上の層です。
よい教育、よい職場に送り出すというのは優しい親心そのものだったわけですが、その親心のせいで厳しい競争社会に放り込まれた経験を、子どもにはさせたくないと思っていたところに、ゆとり教育を子どもが受けることになり、そのことが厳しい社会を生き抜く力を弱めることにもなりました。
そこに起こったのがコロナ禍で、今までと同じことをしていたら生き残れない、同業他社と仲良くしている状態ではなくなって蹴落としていかないと生きていけない社会に放り出されたようなものです。ゆとり教育では、運動会でも順位を決めず、みんなで手をつないで一緒にゴールを通過するということが行われていましたが、それは競争があっても、それほど厳しくはない、今と同じ状態が続くという前提のもとに実施されてきたことです。
それが急に大変化が起こり、生活面では前と同じことをしてはいけない、仕事では前と同じ状態になることを願いながらも実現は難しいという状況に追い込まれ、環境の変化だけでなく、意識を変化させないと乗り切れないことに気づきました。
子どものうちは親の環境の中で過ごせばよかったのに、子どもも意識を変えて、自分ができることから取り組んでいかなければならないというコロナ禍と、コロナ後の社会になっています。子どもを可愛がる気持ちには変わりはないものの、甘やかす「孫にも衣装」ではなくて、ある程度の厳しさをもって子どもを応援しなければいけない時代になったと認識しています。