ポストコロナ「小さな親切大きなお世話」1

これまで掲げてきた35のテーマは、どれも諺(ことわざ)をもじった言葉を使ってきましたが、今回は諺ではなくて、標語を膨らませたものです。その標語は「小さな親切」ですが、これに「大きなお世話」をくっつけると意味合いが違ってきます。パッと見では、「“小さな親切”として行われたことも、お節介と感じて“大きなお世話”」と感じて、反論する内容にも見えます。しかし、今回取り上げたのは、大きなお世話だと突っぱねようということではなくて、小さな親切を重ねていって、大きなお世話としていこうというコロナ後を考えていくキーワードとしています。
それを考える例として、取り上げるのは発達障害です。発達障害は脳の発達の速度にばらつきがあり、機能に凹凸が現れることを指していて、状態としては自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害が代表的なものです。どの状態も周囲とのコミュニケーションが取りにくく、疎外感を感じながら暮らしていくことになります。その生きにくさ、過ごしにくさを理解して、支援していくことが重要であるとされています。
何が重要かというと、日本は超高齢社会で、世界の誰もが経験したことがない少子高齢社会が目前に迫っているからで、その社会の人材確保に発達障害がある人も期待されているからです。発達障害児は10%も存在していて、その特性は大人になっても継続します。発達障害の改善は、できるだけ早く取り組むことが重要で、未就学(小学校に入る前)での対応で、一生涯の状態が変わってきます。それだけに家庭や学校だけでなく、地域で改善への支援をしていかなければならないのですが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって子どもたちを取り巻く環境は大きく変化してしまい、中でも発達障害児は改善の機会を増やすどころか、むしろ状況が悪くなってしまいました。
最も影響を受ける環境は家庭の状態で、コロナ禍で経済的に苦しくなった家庭の子どもたちは、隠れた才能を発揮させるための学習の機会も奪われるような状況になっています。
どのような状況なのかについての話は、次回に続きます。