学習障害の改善には、学習塾も取り組んでいます。発達障害児支援施設も身体機能と認知機能を高める取り組みの延長として学習塾と同様のことを取り入れている例もあります。しかし、学習障害児の専門の学習塾は非常に少なくて、保護者の希望に応じられるような状態ではありません。
それならば学習障害の改善ための専門の学習塾を開設していけば、要望が多いこともあって、事業活動にしていける、と考えるのは当然のことです。
しかし、すでに学習塾がしのぎを削っている地域に、学習障害児のための学習塾を開設するとなると、お客(学習障害児)を横取りするようにも思われてしまいます。なぜ横取りをされたと考えるのかというと、学習塾の中に設けられた学習障害児のクラスは、実際には学力を向上させるところまでいっていなくて、宿題をさせてわからないところをアドバイスしたり、場合によっては遊ばせているだけというところもあるからです。
そんな状況のところに、本格的な学習障害専門の学習塾を開設したら、既存の学習塾にしてみれば、お客を持っていかれるのと同じことになるからです。
そんなことを思われることなく、しかも既存の学習塾や発達障害児支援施設に拒否されない、それどころか歓迎されるようなことをしなければ、コロナ禍で厳しい状態になった家庭の子どもたちを支援することはできなくなります。学習障害児は、ただでも学びにくい状況であるのに、そこにコロナ禍による経済的な打撃も加わって、本当に学べる条件が低下してきています。そこで私たちが提案しているのは、発達障害児の身体機能と認知機能と、学習塾が担当する学力向上との間に位置している学業技能を習得する場を提供することです。
学ぶために障害となっている「読む、書く、計算」に必要な技能を身につけさせて、学力向上の支援をする新たな形態の学習塾を考えています。新たな形態といっても、これは江戸時代の「読み書き算盤(そろばん)」を教えた寺子屋と同じ役割で、学びのための“小さな親切” を“大きなお世話”に変えていくための重要な活動だと認識しています。
その対象は子どもだけでなく、親にも祖父母にも伝える(教える)べきことがあります。特に食事と生活環境による自律神経調整は、家族の協力なしにはできないことです。親にも祖父母にも学んでもらう学習塾ということでも、新たな形態の学習塾となります。