ポストコロナ「旅は道連れ要はお酒」2

地方の優れた食材、珍しい料理は集客のキラーコンテンツです。他に楽しめるところがないとしたら、それを目的に訪れる人は必ずいます。長引くコロナ禍で、旅行を楽しもうというモチベーションが低下して、全体的に移動客が減ったとしても、受け入れる店舗や施設が減ってしまったので、計算上は前と同じくらいの集客は見込める、というのが地方創生を手がける会社が打ち出している勝ち残り策のポイントとなっています。
観光による地方創生を実施してきた自治体では、料理に力を入れ、料理人も変え、献立はコンサルタントに依頼するということで、それなりの魅力的なメニューを打ち出していました。そういったところを訪ね歩く調査活動をしていて、どこに行っても、なぜここに力を入れない、と感じたのがお酒でした。ここでいうお酒は日本酒のことで、ワインの産地ではワインと洋食の組み合わせもありましたが、ほとんどの地域は日本食をベースにしていて、お酒といえば日本酒でした。
地元の食材で作った料理には地元の日本酒ということで、自治体は地元に酒造会社があれば、それを採用するのは当たり前のことです。日本酒の味は地域の料理から生まれる、逆に地域の料理から日本酒の味が変わってきたということがあるので、地元の料理には地元の日本酒という組み合わせは当然のように出てくる発想です。ところが、必ずしも地元の日本酒が旨いとは言えないことがあり、せっかくの料理を台無しにしてしまうこともあります。
地元の酒造会社がない場合には、周辺の地域から探してくることになりますが、地元の歴史的な人物や観光名所のラベルを作り、既存の日本酒にラベルを貼って、オリジナル商品にしているところも増えてきています。全国各地を巡り、その地域の日本酒の特徴を知り、これなら全国各地から訪れた人でも納得するであろうものを「旅は道連れ要はお酒」の心構えで探してきていることから、その日本酒を提案します。しかし、どんな背景があるのか明らかにされないまま、提案は拒否され、お客さんが満足しない日本酒を出し続けているところも多いのが現状です。