「昨日の友が今日の敵」とならないようにして、地域での活動を味方とだけ進めていくには、地域の課題を解決する行動が重要になります。そのための手法は、これまでは、できるだけ多くの人を集めて、効率的に進めていくことが善しとされてきましたが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、手法だけは変えなければならなくなりました。
地域での活動は求めが多く、地元での活動の計画が知られる中で、急に遠くから応援を求められるようになりました。私たちの拡大は歩いていける範囲の地元を軸足として、それと接するところへ徐々に面として広げていくことを想定しています。その軸足を他の地域にも持って、複合的に広げていくという発想はよいのですが、それはコロナ前のことです。コロナ禍では一度に大人数を集めての講習はできなくなり、半分以下、場合によっては定員の4分の1、5分の1の数で実施しなければならないことがあります。それだと同じことを4回も5回も話をしたり、一緒に行動するということをしなければなりません。
講師として遠くに出向くとしたら、そんなに非効率的なことはありません。地元なら、何度でも繰り返すことができます。遠くに移動するのに時間がかかり、実際に講習をするのは1時間か2時間ということなら、地元なら、その時間があれば何度でも繰り返すことができます。
このように説明をしても、成功例を自分のところでもやってほしいという話は続いて入ってきます。そのときには“友”として実施できても、地元と、地元から離れている場所とを選ばなければならない状態になったら地元を選ぶことになります。そうなったときには仕方がないと諦めてくれる人だけならよいのですが、こちらが離れるとなると急に“敵”として扱う人がいます。自分たちが稼ごうとしていたことを邪魔した相手という反応もあります。
「昨日の友が今日の敵」というのは、そんなことにならないようにしたいという自分への戒めも含めた言葉で、コロナ禍で大きく低下してしまった住民の健康度をV字回復させるためには、手が届く範囲、歩いて行ける範囲(私たちにしてみるとノルディックウォーキングで2時間の以前の町の範囲)での活動を徹底的に行い、これを見本として、それこそ必要とされる地域に広げていけたらと思っています。