ポストコロナ「渡る世間に鬼は外」2

ここまでひどいコロナ禍を想像していたわけではないのですが、地域支援のための継続可能なシステムの構築を国と関連団体で行ってきたことから、常に最悪の状況を想定して計画を立ててきました。今にしてみれば、その前提となっていたのはSARS(2002年の重症急性呼吸器症候群)とMERS(2012年の中東呼吸器症候群)だったので、その当時の最悪は、今の感染拡大がニワトリだとしたらヒヨコみたいなものです。
地方創生に健康を取り入れたいという要望を受けて、東京から各地の自治体を訪ね回っていたときに、「万が一にもSARSやMERSのことが起こったら、これまでの常識では対応できなくなる」と言い続けてきました。その当時の反応はというと、「そんなこと言って脅して」「自分が儲けたいから言っているのではないか」というのがほとんどでした。
「渡る世間に鬼は外」の発想で持続可能な方法に取り組まなければ根底から崩されると、いくら話しても聞く耳を持たない人たちを説得するために例としてあげたのはSDGsでした。いくらよいことであっても継続できない、途中で諦めるようなことでは、“やらなかったほうがよかった”ということにもなりかねません。
SDGsは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称で、2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟193か国が2016年から2030年までの15年間で達成するために掲げた目標です。
17の目標の表題だけを綴ると、1貧困をなくそう、2飢餓をゼロに、3すべての人に健康と福祉を、4質の高い教育をみんなに、5ジェンダー平等を実現しよう、6安全な水とトイレを世界中に、7エネルギーをみんなに そしてクリーンに、8働きがいも経済成長も、9産業と技術革新の基盤をつくろう、10人や国の不平等をなくそう、11住み続けられるまちづくりを、12つくる責任 つかう責任、13気候変動に具体的な対策を、14海の豊かさを守ろう、15陸の豊かさも守ろう、16平和と公正をすべての人に、17パートナーシップで目標を達成しよう、と広大な発想と取り組みが必要です。国が決めたことなので、どの自治体も反対するわけにはいきません。
この中の多くが地域の健康づくりと安全に関わってくる(と強引で結びつけられる)ことなので、継続させるためには、安全対策があり、その上の健康だと言い続けてきました。
このことはコロナ禍の大スポーツイベントによる健康ムードの醸成にもつながると見ていましたが、安全も健康も脅かされる結果となったのは誰しも理解ができるところです。