日本の医療制度は“出来高払い”であるのに対して、アメリカは“定額払い”だということを前に紹介しました。そのために日本よりも人口が多いアメリカは入院ベッド数が少ない、それだけ早く治療して早く退院させることができるということも紹介しました。日本の医療が無駄づかいだというつもりはないのですが、日本メディカルダイエット支援機構の理事長が、アメリカで日本人の体質について講演したときに、日本人は平均寿命が長いのに100歳以上が少ない理由についての質問を受けました。
今でこそ日本人で100歳を超えるのは8万人を突破していて、アメリカを少し超えて世界1位を誇っていますが、講演をした当時の100歳以上は日本人は約2万人、アメリカ人は約6万人でした。アメリカの人口が日本の2倍近くとしても、少なすぎるのではないか、という疑問が湧いてくるのは当然のことです。
そのときには、日本は出来高払いの医療制度のために国や自治体の負担は多いものの、皆保険制度のために個人の支払金額は国民的には多くはないので、医療に頼りきりになっていて、自分で健康になる努力が足りないという話をしました。続けて、アメリカの定額払いの医療制度は、民間の医療保険の上に成り立っていて、無駄な医療行為ができない仕組みで、自分で自分の健康を守ることをしないと、定額といっても高額の支払請求がくるので、そのうち日本とアメリカの100歳以上人口は並ぶはずということを話しましたが、そのとおりの結果となっています。
無駄な医療費ということでは、日本には金曜日入院、月曜日退院という流れがあります。その話をしたときのアメリカでの反応は絶賛でした。金曜日に入院して土日を挟んで月曜日に退院ができるというアメリカの平均7.8日よりも短い日数と思われたためです。ところが、実際のところを話したら「クレージー」だと言われました。海外から見たら“狂気の沙汰”と見えるのは、月曜日から診察が始まるのに金曜日に入院して3日間を過ごし、金曜日に治療が済んでいるのに主治医の許可ができるのが月曜日なので、さらに3日間を過ごす、合計で6日間も無駄な時間を過ごさせるということです。
さらに疑問が抱かれたのは、日本の検査の仕組みで、他の病院にかかるときには、もう一度同じ検査を受けなければなりません。それに対してアメリカでは、検査は患者のお金で受けたので、その結果も患者のものなので、検査データを渡してくれます。そんなにも他の病院の検査が信じられないような中身なのか、という疑問を寄せられました。銀行が自行の帯封の100万円なら枚数を数えないで100万円とするのに、他行の帯封だとはずして必ず枚数を数えるのと同じではないか、そんなに感想も湧いてきてしまいます。