コロナ禍の講習は、どうしても対面は難しくて、オンライン講習になりがちです。対面の講習でもオンライン講習でも、使っている講習テキストは同じで、目の前に講師がしても画面を通してであっても顔や表情が違うわけでもないし、流れてくる言葉も同じなので、何も変わりがないではないか、と言われることがあります。
しかし、受講している側には、どう感じられているのかはわからないものの、話をしている側にしたら、対面とは違っています。対面だと、今の時代には講師はマスクを着用しなければならないので、表情は見えない、言葉もよく聞こえない、通信環境やパソコンの機能の差もあって聞こえ方が対面とは大きく違っているということがあります。
そのために、ちゃんと話したつもりでも、正しく伝わっていないことがあります。聞いている方の表情を見れば、理解しているのか、それとも理解できていないのかは判断ができます。それは目の届く範囲に受講者がいる場合のことで、画面を通じてだと表情まではわかりません。これは講師のほうが使っているパソコンの画面が小さいからということだけではなくて、大きな画面で講師をしたときにも画面を通すと表情がわからなくなります。1対1だったり、受講者が4〜5人なら、まだ感覚的につかむことはできても、それ以上の人数になると表情もわからなくなり、理解しているのか、そうでないのかも判別がつかなくなります。
こうなると話したことが通じているのか心配にもなって、まるで言葉が通じない動物を相手に話しているような感覚にもなります。そのことを私たちは「猫にこんばんは」という珍妙な諺(ことわざ)のもじりで表現しているのです。だから、私どもに講習の講師を依頼するときには、話したことが通じていることを確認しながら話ができる環境と条件を整えてほしいのです。そうでないと、せっかく受講者の心に響く内容と話し方であっても、何を言っているのかわからない、お互いに違う言語で話をしているように感じてしまうことにもなりかねないのです。