新型コロナウイルス感染拡大のために外出自粛、飲食店の営業時間と酒類提供の制限などがあって、外食そのものが自粛の対象となってしまいました。これが身に染み付いて、外食に対する意識が変わってしまうと、終息して完全に解除されたとしても、元のとおりにはならないだろうと考えられています。私たちは健康面から食事に関わる仕事をしてきた割には、外食を楽しもうという意識は、あまり強くはありませんでした。その大きな理由は、安全性の問題です。
安全性というと、無農薬、無添加といったことが注目されがちで、安全とされる食品を使っていれば、それで安全な料理ということにされていました。それを売り物にしている店舗であっても、食器まで含めると本当に安全と胸を張って言えるのかと指摘したくなる場面があります。それは食器のせいというよりも、食器の洗浄の方法にあります。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長は、社会人1年目に厨房業界の機関誌を手がける中で、食器洗浄器と洗浄剤、そして洗浄法について勉強しました。そこで得た知識を病院調理の専門誌の編集長を務めたときに、調理現場に向けて発信してきました。それは25歳のときで、今から40年も前のことを、なんで今さら言っているのかというと、何も状況が変わっていないからです。
業務用食器洗浄器は大きく2タイプがあって、ドアタイプは回転する噴射ノズルが上下にあって洗浄するもので、もう一つのコンベアタイプは固定型の上下の噴射ノズルの中を食器が通過して洗浄するものです。初めに予備洗浄で汚れを落とし、強アルカリ性の洗浄剤で洗い、循環すすぎとして水で洗浄剤を流して、最後に仕上げすすぎをして、食器には何も残らない状態にします。
この方法で綺麗になるかどうかは、正確な温度調整と噴射時間、食器の置き方によって大きく違ってきます。温度と時間は外から見ているだけではわかりにくいのですが、食器の置き方は一目瞭然です。詳しくは次回で説明しますが、食器は一定の方向を向けて、一定の間隔を開けて設置しなければならないのに、そんな基本が守られていないために、正しく洗えていない、強力な洗浄剤が残ったまま料理が乗せられて提供されているということが起こっているのです。