ポストコロナ「知らぬがほっとけ」3

業務用食器洗浄器は扱いを間違うと、食器が綺麗に洗えないどころか、汚れや雑菌、洗浄剤が残って、危険な食器にもなりかねないということを2回にわたって説明してきました。食器を綺麗にするということは、ただ洗えばよいということではなくて、使う前と同じ状態にすることです。常に使う前と同じになっていれば、使っているうちに汚れがついてくるということもないわけです。食器を本当に長く使っているとコーティングが剥がれてきて、これが汚れを付着させることになるので、陶器であれガラスであれ、そして業務用のプラスチック容器であれ、ある程度の汚れは仕方がないことになります。
そこを見分けるために、用いているのが消しゴムです。消しゴムで擦って汚れが落ちるようなら、それは食器洗浄器で綺麗に洗えていない証拠です。業務用食器洗浄器を使っている給食施設や外食店で、こういう話をすると必ずといっていいほどチェックを頼まれます。その結果、食器のほうに問題があったのは過去の実績からすると5%ほどだと日本メディカルダイエット支援機構の理事長は話しています。そんなにも綺麗に洗えていないまま料理が乗って出されている現実があるので、汚れた食器を使っている店などは信じていないということです。
給食施設は全国にあり、業務用食器洗浄器も全国で使われています。だから、地方でも食器の安全性の確認の用件はあるのかと期待していたのですが、重要性を認識していないのか、それとも端から業者の言うことを信じきっているのか、当支援機構が本部を岡山に移してからチェックの依頼があったのは3件だけ、それもボランティアです。しかし、すべての施設で問題点が出てきました。洗い方を見ていれば、すぐに問題点は明らかになり、改善点もわかります。ただ、改善するためには洗浄にかける時間と手間が増え、お金もかかることなので、どこまで安全性を認識して取り組んでくれるか、そこだけの問題です。
ポストコロナの時代には、本当の安全性が求められると認識しています。外食店は食品の安全性、調理の安全性は当然のことですが、正しく洗浄して安全な状態で食事を提供するということも大切です。食器には、すべての人が口をつけるか、口を近づけているので、もしも細菌やウイルスに感染していたら、それらが付着しやすい料理の残りとともに洗浄の場所に戻ってきます。洗浄する人が指に傷があったら感染リスクは急激に高まります。
こういった安全策のほうには注意を払わずに、SNSでの拡散や客がくればよいという態度のところがあり、それを知ってか知らずか「知らぬがほっとけ」とばかりに集客だけに注目しているコンサルタントやアドバイザーもいます。誰もが安心して食べられる、店舗なら親子三代にわたって贔屓(ひいき)にしてもらえる店づくりのためのアドバイスが必要です。そのことについて、食器洗浄を例にして話をさせてもらいました。