ポストコロナ「石橋を叩いても渡らず」3

注意深くて慎重というのは良い印象を与える言葉で、同じことであっても見方を変えると臆病というマイナスイメージになります。日本人は世界に比べると慎重な性格は評価に値すべきことではあっても、慎重すぎて臆病になって「石橋を叩いても渡らず」ということを続けていたら、コロナ禍が過ぎてポストコロナの時代になったときに、復活を目指せるのか心配になることがあります。
日本は経済成長が進まず、企業の賃金も上がらず、せっかく世界に誇る素晴らしい産業があっても、これを日本人のためというよりも、海外に利益を持っていかれようとする場面を多く目にします。もともと経済成長が進んでいて、企業もお金を持っている国であっても、日本人という勤勉な(多少は例外があっても全体的には)国民性が日本の企業を支えているので、有能な社員ごと買わないことには魅力がある企業を買ったことにはなりません。
日本の企業が海外の工場や得意とする分野の技術を海外に持っていかれても、期待するほどの成果が得られなかったのは人の部分が大きかったからです。しかし、日本人ごと買う、つまり日本の企業を日本に置いたまま買うということをされると、収益が持っていかれるだけでなく、優れた商品も国内には出回らないということにもなりかねません。
この話の例としてあげるものが合っているのか疑問もあるのですが、国内最高級のどんこ(肉厚の干し椎茸)は海外に買われています。国内にはほとんど出回っていない状況ですが、コロナ禍でインバウンドがなくなり、一時期は海外への輸出も進まなかったことから高級品を作っても売れない、無駄にさえなるということがありました。もちろん外食店の自粛続きで国内消費も大きく低下しました。
日本の企業を通じて買うよりも、日本の企業ごと買ってしまい、その最高級品は自国(中国?)に持っていく、利益も持っていくということが考えられます。
ここで中国と限定するのは問題ありかとも思われますが、地政学的には日本列島は北方領土から最西端の与那国島まで、中国の海への進出を妨げるように位置しています。日本列島がなければ太平洋は自由に動ける自前の海となります。日本そのものを買うことは無理でも、日本列島の各地にある企業を買って、そこを前線基地として獲れた魚介類を中国に持ち込むルートが作られたら、日本は中国の一部にもなりかねません。
そんなことまで懸念される時代に、日本が独立して生きていくためには、何をすればよいのか、そこで暮らす国民として何を始めればよいのかも、コロナが収束したときには真剣に考えないといけないことです。そして、慎重になりすぎず、かといって無茶をするのではなく、着実に日本人らしく進めていく方法を次回は考えていきたいと思います。