ポストコロナ「石橋を叩いて渡す」3

地域の健康づくりというと、いまだに高齢者の運動の機会を増やすこと、生活習慣病の予防の話を聞く機会を増やすこと、と思い込んでいる向きもあります。地域の健康づくりとして三世代の参加と交流、子どもから高齢者までの一貫したサポートという話をすると、大抵は「そんなのは無理」という反応です。やることを考えても、誰が率先するのか、あなたたちが企画、運営、指導、参加者管理までやってくれるのか、という話もされます。これに対する返答として、「やりますよ。ただし、数年でバトンタッチをします」と話しています。
健康づくりは自分たちのためです。もちろん、自治体などが音頭をとって実施するときには、自治体内の医療費を削減する、健康寿命を延ばして介護費を削減するといった目論見も出てくるところですが、個々でいえば自分が病気にならないようにすること、介護生活をできるだけ先延ばしすることとなります。1日の歩数を増やすだけでも、個人の医療費が減る、認知機能の低下を抑えられるという研究成果はいくつもあります。
自分のためなのだから自分で動く、それこそ“自分の健康は自分で守る”という考えのもとに行動を起こすべきだと思うのですが、健康づくりは自治体や団体(歩こう会など)が主導してやってくれるものという意識は今も大きくは変わらないようです。
自分のためだけでも行動する意義はあると思うのですが、配偶者のため、子どものため、孫のためと範囲を狭めて考えても、コロナ禍で健康状態が低下しているときには動くべきタイミングです。「自助・共助・公助」は90年代に登場した言葉で、自然災害に関連して使われてきました。今では国のリーダーが公助(行政の役割)を期待するのではなく、自助(一人ひとりの役割)・共助(地域の役割)を政策理念として掲げていますが、自助はすぐには無理でも共助から始めることは健康づくりでは重要なことと認識しています。
今回のテーマの「石橋を叩いて渡す」は、誰に渡すかが重要で、三世代の年長者から下へと継続可能な仕組みを慎重に構築して、さらに下へと渡していけるように、石橋を叩いて確認をしながら健康づくりに取り組むべきだと考えています。共助の成果は、いきなり自助は難しくても家族単位で実施することを目指して、自助と共助の間に“家助”を入れて、「自助・家助・共助」をキャッチフレーズとした活動を考えています。