ポストコロナ「端より談合」1

目的として掲げていることは、実は見せかけであって、その裏には本音が隠れていることを指す諺(ことわざ)はいくつかあるのですが、「花より団子」も、その一つです。花を愛でる風流よりも花見団子を食べる実益、外観よりも実質を重んじることを指しています。実益ばかりを求める人を批判して使われることも多く、団子を食べるというのも言い訳であって、実際には酒と宴会料理のほうが目的という人も多いようです。
今回の「端より談合」は、端(はな)は端っこ(はしっこ)という意味から、初めを指しています。よりは比較する意味で使われることが多いので、「花より団子」なら“花よりも団子のほうがいい”という意味でわかりやすいのですが、よりは“本日より開店”“アメリカより輸入”といったように“から”の意味でも使われています。ということで、初めから談合をしているという意味として使っています。
談合というと、公共工事の競争入札で、本来なら競争をする同業者が、あらかじめ話し合って入札価格を引き上げることで使われることが多いので、悪い意味だと思われがちです。悪いのは談合を自分たちの利益にしようと動いている人たちのほうで、もともとの意味は相談して決定することを指しています。談合をして、よい方向に進むようにしようという人だけが集まっての決め事なら、あえて先に話し合いをすることは悪いことではないということです。
自治体が実施する健康事業に加わるときに、仕事を発注する立場の役所の人と、よりよい結果となることを目的として民間が呼ばれて、一緒になって計画を考えていくというのはよくあることです。その民間を呼んだのは最も精通しているからで、一緒に考えた人が実施していくのが成功させる方法だというのは、発注側も受注側もわかっています。ところが、公共の資金が使われることとなると、金額が定まっていない事業では入札が行われ、企画内容と金額が審査されます。
金額が一定であれば、広く企画内容を募集して、最も優れているところに決定するわけですが、多くは初めから企画に加わっていたところが採択されます。この場合は、入札と違って金額的に発注側に損をさせることはないので、企画内容だけで選択されます。
この従来から続けられてきた選択方法が、コロナ禍で通用しなくなってきました。その例については次回に続きます。