ポストコロナ「笑う門には福は内」2

新型コロナウイルス感染症の対応をしている大都市部の大病院は、女性看護師が若いうちに地方に移動するために経験と質という意味では不安があるという話をしましたが、それに続いて、なぜ長く勤めてくれないかということを説明します。一番の理由は、地方の病院では大都会の大病院で経験を積んできた若い女性看護師は優遇されるということがあります。大病院ほど忙しくはないのに、給与や待遇がよくて、しかも出身地であれば、それは戻りたがるのは当然のことです。
若い女性看護師の離職を防ぐために、病院側も動いています。私どもが付き合ってきた大都市部の大病院では、調理師長が婚活の担い手となっているところが多くありました。病院給食の作り手で、仕込みから食器洗浄まで忙しい仕事ではあっても、トップは調理のときだけが主な仕事で、案外と時間があります。そこで回ってきた仕事が女性看護師の結婚相手を探し、結びつけることで病院に定着させようということです。ということで結婚相手は病院の職員となります。
女性看護師が第一に望むのは医師との結婚ですが、婚活のときには他の職種もよいということを伝えています。医師は平均寿命が短いということも切り口の一つで、心身ともに厳しい状態で働いている医師は短命であることは事実です。これまででも短命だったのに、数年に1回感染症の拡大が予測され、それも数年続く、変異もして影響が長く続くという状態では、もっと短命にもなりかねません。それを考えると今後は医師も不足して、看護師も経験と質で新たな治療への期待ができにくいとなると、大都市部の病院は不安材料が多いと指摘されるのは仕方がないことです。
これまで地方の病院は、一定数の女性看護師のUターンはあったものの、まだベッド数を充分に動かすだけの人材は足りていなかったのですが、「災い転じて福は内」という大都市部から地方に移動してくる看護師が増えて、喜ぶような状況になっていきます。それに合わせて、高度な医療を求めて大都市部に住んでいた人たちが地方への移住を希望する例も増えています。移住傾向の高まりは、何も大都市部の感染拡大への不安だけではなくて、安心して笑いながら暮らせる医療の充実も影響をしているのです。