地域での健康づくりにスポーツを取り入れている団体は、いくつもあります。しかし、生涯スポーツ、健康スポーツの多くの団体は、新規会員確保、会員の高齢化傾向、普及の低迷といった悩みを抱えながら活動しています。障害者も健常者も、発達障害者も同様に参加できるユニバーサルスポーツは、連携する生涯スポーツ団体とともに、地域共生社会の実現と新たな価値創出を目指した次世代の人材との連携を強く進めることによって、これらを解決すると同時に、ユニバーサルスポーツの本来の目的が達せられると考えています。
障害者と健常者が一緒に活動できるようにするためには、各スポーツ団体との協力によって、ルール変更や運営法の見直しなどを推進する必要があります。それによって障害者施設や地域の障害者・発達障害者、高齢者などの参加協力によって、地域社会独自、施設独自の実践法などを構築するとともに、新たなユニバーサルスポーツの開発にも取り組むことができます。
既存のユニバーサルスポーツは、障害者の機能に合わせた競技内容で、それを健常者も実施するという内容になっています。既存のユニバーサルスポーツを構成する生涯スポーツ、健康スポーツの各団体と連携するだけでなく、広くユニバーサルスポーツの関心を高め、手づくり感覚で共生活動を育んでいくために、新たなユニバーサルスポーツの開発に取り組むことが重要となります。
既存の生涯スポーツ、健康スポーツのルール変更や運営法の見直しなどを推進していく場合にも、障害者や発達障害者の心身の特徴、障害児や発達障害児の成長の特徴を充分に把握して、それぞれが能力を発揮して、共生スポーツとして継続できるようにしていく必要があります。そのためには、社会福祉法人をはじめとした多くの団体などの協力を得て、自らの手で組み立て、常に振り返り、参加者に合わせて修正しながら、さらに進めていく活動が重要であると考えています。
ユニバーサルスポーツの施設や地域での導入は、生涯スポーツなどの経験者や周囲の協力によって紹介されたスポーツを受け入れ、それを障害者などに合わせて変更して進めていくのが一般的です。それに対して、地域社会のユニバーサルスポーツは、一つの競技スポーツに固定するのではなく、自由にアレンジして取り組みやすい新たなスポーツを採用することを考えています。
新たなユニバーサルスポーツは、地域の団体や企業でも簡単に始められ、障害者や高齢者などと実践していくことができることを目指しています。その実践のために、参加者が高いモチベーションを持って継続できるようなシステム設計をしていくことが、「絵に描いたモチベーション」を避けて、コロナ禍で大きく低下した地域の健康度を高めるための方策になると信じています。