聞く耳を持つというのは新たな活動をするためには必要な態度ですが、聞いただけでは意味がないのは当然のことです。恥を忍んで聞いたことなのに、それを活かすことができなかったら、聞かなかったことによる恥(聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥)よりも聞いたことが恥にもなりかねません。
平均寿命が延伸して、それにつれて健康寿命も延伸しました。平均寿命と健康寿命の差が男性で約9年、女性で12年以上となっていても、健康寿命が延伸したことに違いはありません。しかし、認知症を含めた脳の健康状態となると、健康寿命のようには伸びてはいません。身体の健康状態は続いていても、脳のほうが追いつかずに、身体が元気な認知症を増やすことになってしまいます。
健康づくりに取り組む各団体の目的の一つに“健脳”を加えてもらい、他の団体と連携して、脳の健康寿命を延伸させることが確認されている方法、その効果が期待されている方法を集めて、一緒に行動しようと提案すると、正面から拒否をするところも出てきます。
自分たちの活動が健康によいと言っているのは脳の健康も含まれている、自分たちの方法だけでも充分に効果があるという考えもあり、「余計なことを持ち込まないでくれ」と言われることもあります。特に何をしてほしいということではなくて、一緒に健脳について学び、それぞれの団体のノウハウを持ち寄って、さらに良い学びの場を作りたいと願っているだけです。
それにも関わらず拒否の姿勢を示すのは、口で言うほどの健脳のことを考えていないのか、エビデンスを得る努力をしていないのかと疑いの気持ちが出てきそうですが、それでも私たちは拒否をするのではなく、いつか一緒に活動できる機会がくることを願って、地道な活動をしています。その地道な活動が健脳のためのノウハウを知るために、各団体の活動の中で得られた経験と実績を見せてもらうことです。
その結果を集めて、健脳活動として堂々と押し出せるようになるまでは、「聞くは一時の恥知らず」の覚悟をもって突き進んでいくだけです。