ポストコロナ「腹が減ってはいいクソが出ない」2

脳を働かせるためのエネルギー源になる栄養素はブドウ糖だけです。他の細胞ではエネルギー源となっている脂肪酸もたんぱく質も脳細胞でエネルギーを作り出すためには取り込まれず、唯一のエネルギー源のブドウ糖が不足すると、脳の機能が低下します。自動車にたとえるとアクセルを目一杯に踏み込んで、エンジンをフル回転させようとしているのに、実はガソリンが不足しているというのと同じ状態で、どこかで補給しないと途中で息切れ(ガソリン切れ)してしまいます。
コロナ後には、大きなストレスを抱えたまま学んでいる子どもたちに存分に学べる環境を与えたとしても、肝心な脳細胞がエネルギー不足では、どうにもなりません。といって、食事をしてブドウ糖が多く含まれる糖質を摂ったあとに勉強をすると、眠くなって頭が回らないということがあります。そのために学ぶ前には食べ物は禁止、もちろん学んでいるときにも禁止という学習塾も存在していますが、発達障害児、学習障害児を対象とした学びの場を提供する場合には、脳の機能を低下させないための栄養補給、つまり糖質補給は欠かせません。
食べ過ぎはよくないとしても、ブドウ糖が最も多く含まれる砂糖(ブドウ糖と果糖が1分子ずつ結合)は、一気に吸収されて、すぐに脳細胞に届けられるので、少しだけの甘いものは学習には欠かせないものです。それ以上に、軽食であっても食事をしてから学ぶことを研究してすすめています。
今回のテーマの「腹が減ってはいいクソが出ない」は、ちゃんと食べないことには食品のうち吸収されなかったカスも少なくなり、その結果として出るべきものも出ないということにもなります。
出すぎてしまう下痢は勉強に集中できなくなってしまいますが、出るべきものが出ない便秘も腹痛や不調から集中力を低下させます。軽食にして学習塾から帰って、しっかりと夕ご飯を食べるということでも栄養補給はできるのですが、食事は栄養補給の場だけではなくて、生活リズムを整えるためにも重要です。いつもと同じ時間に食べ物を口にして、寝る前に空腹を感じることがあったら、おやつを食べるという習慣の、食べる順番を変えているだけと考えることもできます。