コロナ禍で乱れてしまった生活リズムによって、自律神経の働きも乱れていて、これが消化、吸収、循環、代謝、排泄に影響することは、今回のテーマのコラムの初めに紹介しました。コロナ禍で強いストレスを感じている子どもたちの脳の働きを高めるために、何を食べればよいのかというと、第一は脳細胞の唯一のエネルギー源となるブドウ糖が含まれた糖質です。
ブドウ糖をエネルギー化させるためには、水溶性のビタミンが必要で、発達障害による極端な偏食まではいかないとしても野菜不足の子どもは多くなっています。そこをクリアさせるのに野菜は耐えられなくても野菜ジュース、フルーツも入っている野菜ジュースを飲むということで対応はできます。しかし、ジュースでは食物繊維が不足しています。食物繊維は消化も吸収もされないものですが、大腸では腸内細菌によって分解されて、腸内細菌の栄養源(エサ)となります。善玉菌が多いかどうかは食物繊維の摂取量にかかっています。
腸の状態がよいのは集中して勉強をするために必要だと紹介しましたが、もう一つ大切なことは神経伝達物質のセロトニンの生成です。セロトニンは幸福ホルモンとも呼ばれています。セロトニンは脳と腸で生成されるのですが、生成量は腸が圧倒的に多くなっています。どれくらいの違いかというと腸が90%を占めています。この腸のセロトニンが血流に乗って、脳まで届けられています。
セロトニンは気分を安定させて、穏やかにする役割があり、睡眠にも関わっています。セロトニンが不足すると不安やイライラが高まってきます。学習に障害がある子どもの場合は、腸の改善も合わせて実施することも必要だということです。
また、セロトニンには腸を刺激して便通を促進する作用もあります。腸の状態をよくすることは、善玉菌によって便量を増やし、軟らかくして出やすくさせるということのほかに、セロトニンを増やすことも大切なことだということです。
便は水分が70%、食べ物のカスが10%、剥がれた腸粘膜が10%、腸内細菌の死骸が10%ほどとなっています。水分を除いたら、吸収されなかった食べ物のカスと腸内細菌は同じくらいの重量となっています。
今回のテーマの「腹が減ってはいいクソが出ない」はカスとしての便のことではなくて、善玉菌によって腸内での発酵が進んで腸内細菌も増えることも含んでいるし、その結果として脳を正常に働かせるためのセロトニンの量が増えるということも指しているのです。