ポールはストレッチの重要アイテムになる

ノルディックウォーキングのポールは、もちろんノルディックウォーキングをするためのものです。それと同時に、ノルディックウォーキングを始める前の準備運動のストレッチにも使われます。歩くために手に持っているので、歩く前の準備運動に使おうというのは普通の発想です。そして、歩いた後の整理運動にも使われます。
手に何も持たない状態のストレッチは足を大きく前後させて深く腰を沈め、アキレス腱などの筋(すじ)を伸ばすのも大変です。ましてや高齢者となると、準備運動で充分に伸ばすことができないということにもなります。ところが、2本のポールがあると上半身を支えることができるので、充分に曲げ伸ばしすることができます。深いストレッチだけでなく、支えがあるので長めに時間を取ることもできます。
これは手首のストラップとポールがつながっているノルディックウォーキングのポールだけでなく、ポールのグリップ部を握るポールウォーキングのポールの場合も同じことです。準備運動のためのストレッチにも使えますが、足腰の力が衰えてきて、歩くのには問題がなくても座ったところから立ち上がるのに苦労をする人でもポールをしっかりと地面につけば楽に立ち上がることができます。そこで腰掛けた姿勢からポールを使って立ち上がる動作を繰り返すことで、起立筋(立ち上がるのに必要な筋肉)を強化すると同時に、腕の力を鍛えることもできます。
ポールを左右について、片足ずつ前に降り出したり、左右に振ったりして足の動きをスムーズにする動作もできます。これをポールの支えなしにしようとすると大変です。ポールを左右についたところから腕を回します。イメージとしては水泳の平泳ぎの動きです。腕を逆方向にも回します。
ポールを2本とも右側について状態を捻るストレッチをします。これは左側についても行います。これらの動きはポールのグリップを握ったままの動きになりますが、ポールを棒のように使って、グリップと先端近くを握り、左右の体側を伸ばすストレッチも行います。
この他にも、いろいろとストレッチの方法はありますが、初めは無理に伸ばすことはやめておきます。ポールの支えがあると深く、強く、長く行うことはできるのですが、まだ筋力がついていないとき、充分に伸びていないときにやりすぎると身体を傷める原因にもなります。そして、これらは周りに人がいるところではやらないことです。ポールは振り回すと、これは近くにいる人にとっては武器にもなりかねません。
ポールを使ったストレッチをするときに、ポールの扱いについて注意も行っています。歩く方としては、いつでもポールを使っていたいところかもしれませんが、混雑しているところではポールは使わずに持って歩くようにします。狭い道では前方・後方から来る自転車や自動車、バイクなどにとってはポールを使って歩いている人は邪魔になります。それを意識して、止まって通過してもらうことも場合によっては必要です。
杖の代わりのような感覚なのでしょうか、横断歩道の青に切り替えるボタンをポールの先端で押している人を見かけたことがあります。一緒にいた人は、地面につけた先端でボタンを押すことに汚いという反応をしていましたが、それよりも危ない感覚のほうが先立ちます。もちろん、これから歩く方向や周りの人に見てほしいものがあったときに、指差しがわりにポールを使いたくなる気持ちもわからないではありませんが、ポールでの指示は危ないことです。
少なくともポールの先を腰よりも高い位置に上げてはいけません。ましてや、子供がいる場合は(案外と大人もですが)チャンバラ遊びには使わないことを言っています。もちろん本気で言っているのではなく、こういった言い方をすると印象に残りやすく、覚えてもらって、他の人に伝えてもらえるからです。