メディカルダイエットとヒトケミカルの関係

科学的な理論に基づいたダイエット法を実施しても、その効果には違いがでてきます。少々の違いではなく、大きな差になることも珍しいことではありません。筋肉細胞が脂肪を燃焼させることから、筋肉の量が多い人のほうが同じ運動を同じ時間やっても脂肪の燃焼量が多くなるのは当然のことです。では、同じような筋肉量の人の場合には差が出ないのかというと、基礎代謝量は男性のほうが女性よりも多く、年齢を重ねるほど低くなっていく、つまり活動に使われるエネルギー量が、だんだんと減っていくので、前と同じ食事量で、同じ運動量だったら太っていくようになるのです。
性別と年齢が同じであっても、まだ差がみられます。この差は何が原因なのかというと、脂肪を燃焼するために必要となる成分の量が大きく影響していると考えられます。脂肪は細胞の中にあるミトコンドリアという小器官の中のTCA回路で燃焼しています。このTCA回路での燃焼のためにはビタミンB群のビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂が、すべて必要になります。これらのビタミンが含まれている食品の摂取が足りていることが必要になりますが、ビタミンB₁とビタミンB₂は体内で24時間ほど保たれているのに対して、ビタミンB₆とビタミンB₁₂は12時間ほどしか保たれません。
朝食を抜いたり、ビタミンB群が多く含まれている食品が不足すると、運動をして積極的に脂肪が燃焼しているようにしているつもりでも、燃焼量が少ないことになります。
ここまでを調整して、全身の条件が同じになるようにしても、まだ差がみられます。その差は年齢を重ねるほど開きが大きくなってきます。「その差こそが体質ではないか」と考えられることがありますが、代謝を科学的に検証してみると別の原因があることがわかってきました。それはヒトケミカルの体内の保持量の差です。
ヒトケミカルというのは体内の代謝に必要な成分のことですが、中でもエネルギー代謝に必要な3成分のα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は三大ヒトケミカルと呼ばれています。α‐リポ酸は糖質をミトコンドリアに取り込むのに必要で、L‐カルニチンは脂質を取り込むのに必要となります。そして、コエンザイムQ10はミトコンドリア内でエネルギーを作り出すときに必要な補酵素となっています。
三大ヒトケミカルはエネルギーを作り出すために必要であることから体内で合成されています。しかし、その合成量は20歳代をピークに年齢を重ねるにつれて減少していきます。この減少の量には個人差があり、減少が早い人ほどエネルギーを多く作り出せなくなる、つまりダイエットということでは糖質も脂肪も燃焼されにくくなるということです。
三大ヒトケミカルは食品に含まれているものの、もともと体内で合成されることから吸収率が低くなっています。では、どうやったら吸収することができるのかというと、サプリメントとして摂るという方法があります。三大ヒトケミカルは、以前は医薬品としてだけ使用が認められていましたが、今では食品としての使用も認められ、サプリメントの成分になっているからです。
食事と運動の組み合わせによるメディカルダイエットは体内の条件の違いを超えて、効果的に脂肪を燃焼させる方法ですが、これに三大ヒトケミカルを加えることで、より効果を高めることができます。この成果があるからメディカルダイエットの研究の一つとして三大ヒトケミカルの研究を進めているのです。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。