ダイエットという言葉は、以前から“やせる”とか“体脂肪を減らす”という意味で使われてきていますが、メディアに初めて登場したときの記録を見ると生活習慣病の予防の意味で使われていました。ダイエット(Diet)は正しい生活をすることを意味していて、そこから転じて食事療法、運動療法を指す言葉として使われています。
アメリカでは“Diet”といえば食事療法、バランスの取れた食事を指していて、少なくとも日本人が抱いている“やせるために食べる量を大きく減らす”“やせるために無理をする”“やせられるなら身体を壊してもよい”などという発想はしていません。
メディアに初めて「ダイエット」が使われたのは、主婦の友社の健康誌『わたしの健康』(1985年発行)でした。その掲載された記事のタイトルが「粉ミルク健康法」で、赤ちゃん用の粉ミルクを大人も飲んで健康を維持しようというテーマは、このときにダイエットの用語が使われています。
粉ミルク健康法は、今でも複数の書籍が出続けているほどの根本的な健康データとなっています。「粉ミルク健康法」の記事の著者は、大手乳業メーカーの研究所出身の久郷晴彦薬学博士です。そのことを知っているのは、久郷博士が私の義父だからです。
赤ちゃん用の粉ミルクは、それだけで生きていくことができる栄養バランスで、無農薬、無添加という優れた食品です。成人の栄養バランス的には脂肪の割合が多めであるものの、そのことを知っていて、他の食品からの脂肪摂取を控えれば、これほど健康ダイエットに適したものはありません。
やせればよい、ということではなくて、より健康になるためのダイエットであり、それこそが正しい意味なのですが、それを考えてもらえるきっかけになればと思い、この逸話を伝えさせてもらっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕