ダイエット(Diet)は、やせることではない、健康を維持するための行動を示しているということは、この連載の初め(メディカル×ダイエット1)に紹介しました。そのときに、Dietは食事療法、運動療法を指すことも示しましたが、ダイエットと聞くと今も、やせること、やせるために食事量を減らすこと、場合によっては食べないことだと考える人も少なくありません。
その常識(非常識?)とは違うことを示すために、私たちはメディカルダイエットという言葉を使っています。食事療法の世界でいうと、日本臨床栄養協会の機関誌は『New Diet Therapy』で、食事療法は「Diet Therapy」と表現されます。
「Therapy」というと、従来の西洋医学ではない治療や癒しの手法を感じさせるところではあっても、治療、療法という意味で使われるので、食事療法には適した用語なのですが、まだ理解は充分ではありません。
余談ですが、霞が関のお役所に『New Diet Therapy』を持参したときに、「以前の機関誌の『Diet Therapy』が見たい」と言われたことがあります。前の機関誌からのリニューアルで名付けたわけではなくて、新たな食事療法という意味での“New”です。
メディカルダイエット(Medical Diet)は、従来の食事療法、運動療法だけでなく、これを組み合わせたもの、さらに健康づくりに必要な生活要素(入浴や睡眠など)を組み合わせて、個人に適した方法を提供することを目的としているので、「Diet Therapy」の範疇を超えていると認識しています。
内閣府に特定非営利活動法人(NPO法人)として認証を受ける段階で、別の名称も検討したことがあります。それは「Diet Cure」で、これこそが健康の維持・増進の療法に相応しいと思っていたのですが、“Diet”も“Cure”も用語説明が必要なところから現在の名称に落ち着きました。
「Cure」には治す、治療するという意味があり、身体の状態に合わせた行動変容を促進する方法を使える活動には「Diet Cure」が最もよい言葉だと今でも同じ認識をしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕