ワクチン接種後の感染は女性が圧倒的に多い

統計調査というのは、たった1回の結果で右往左往するようなことがあってはいけません。多くのデータ、長い期間のデータが出てこないと結論を出すようなことはあってはいけないのですが、今回ばかりは「右往左往もしたくなる」と言いたいような調査結果が出ました。その調査というのは新型コロナウイルスのワクチン接種後に感染した人の数で、調査・発表したのは国立感染症研究所というコロナ対策の日本の総本山のような機関です。
発表されたのは「新型コロナワクチン接種後に新型コロナウイルス 感染症と診断された症例に関する積極的疫学調査(第一報)」で、要はワクチンを接種して、もう感染しないと安心していたら再び感染した人が、どれだけいるのかという調査です。発表されたのは7月21日で、その結果を見ると4月1日から6月30日までの間に確認されたのは27都道府県の130人です。このうち2回目の接種後14日以降に確認されたのは67人となっています。
1日に100万人の摂取を目指すとしていたので、そのうちの130人は極めて少ない人数です。それは確かなことですが、わざわざ調査結果で取り上げたのは男女差が大きくて、これまでの免疫力の常識とは逆の結果となっていたからです。その結果ですが、男性が37人に対して女性は93人、割合でいうと男性が28.5%に対して女性が71.5%となっていました。
これまで免疫が強いのは女性とされてきて、その理由として免疫細胞のB細胞が抗体を作り出す能力の差があげられています。B細胞が外敵と戦うわけではなくて、抗体が外敵を攻撃します。抗体は、銃や大砲でいえば銃弾・弾丸にあたるもので、これが少なければ充分には戦えないことになります。この抗体を作り出す働きを男性ホルモンは抑えるほうに作用するのに対して、女性ホルモンは高めるほうに作用します。
日本の新型コロナウイルスの感染者の男女差を見ると男性のほうが5%ほど多くなっています。死亡数では男性は女性の1.4倍になっています。この結果を見ても男性は不利だということがわかりますが、ワクチン摂取後の再感染は、なぜか女性のほうが多くなっています。
調査の当時はモデルナ社製が少なく、ファイザー社製が圧倒的に多いことから、再感染者はファイザー社製が121人(97.6%)でした。モデルナ社製が増えてきたときの調査結果も見てから、もう一度、男女差を見るようにします。