三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10は、エネルギー代謝に必要な成分であるのに通常の食品を食べても補えない、ということを先に触れました。それはなぜかという話の前に、三大ヒトケミカルの機能について繰り返しになりますが、紹介させてもらいます。
α‐リポ酸は、ブドウ糖をエネルギー燃焼に適した形のアセチルCoAに変換させるとともに、エネルギーを作り出す細胞のミトコンドリア内のTCA回路内での補酵素として働き、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)の産生に不可欠な成分となっています。
L‐カルニチンは、脂肪酸と結びついてミトコンドリアの膜を通過する働きがあり、脂肪酸はミトコンドリア内でエネルギーを作り出すのに必要なアセチルCoAに変換されてTCA回路に送られていきます。
コエンザイムQ10は、エネルギーを産生するために欠かせない脂溶性のビタミン様物質で、ミトコンドリアの中でATPを合成する酵素の作用を助ける補酵素となっています。
三大ヒトケミカルによって、ブドウ糖と脂肪酸を燃焼させてエネルギーを作り出すことができるわけです。この重要な成分が加齢につれて減少していくので、補うために何を食べればよいかと考えるのは当然のことです。
α‐リポ酸は酵母、動物の肝臓・腎臓、ホウレン草、ニンジン、トマトに多く含まれています。L‐カルニチンは肉類に多く含まれ、中でも羊肉の含有量が多くなっています。コエンザイムQ10は鰯、鯖、牛肉、ピーナッツ、ブロッコリーなどに多く含まれています。しかし、三大ヒトケミカルは体内で合成されているため、食品からは吸収されにくくなっています。食品からは摂りにくいものの、それぞれのヒトケミカルの成分なら吸収することができます。それが可能なので、医薬品としても使われてきたわけです。
三大ヒトケミカルは、通常のサプリメントとは異なる特別な作用をしているわけですが、サプリメント(supplement)には補助、補充という意味があり、まさに三大ヒトケミカルは加齢によって体内で不足する分を補うことができる“サプリメント”ということがいえます。